
処遇改善加算の区分や要件の変更に追いつけていますか
「処遇改善加算が一本化されたあとも、区分や要件の見直しが続いていて把握しきれない」「職場環境等要件として、どのような取り組みをすればよいかわからない」と感じている経営者や施設長、事務長の方も、多いのではないでしょうか。
介護職員等処遇改善加算は、職員の賃金改善の原資となる大切な加算であり、採用や定着にも直結します。
本記事では、介護職員等処遇改善加算の一本化後の区分と加算率、算定要件、職場環境等要件の取り組み方を解説します。
なお、制度に関する内容は、2026年10月時点で確認できる厚生労働省や自治体の資料をもとにしています。
実際に算定する際は、最新の告示・通知、Q&Aと所管の自治体の資料を必ず確認してください。
介護職員等処遇改善加算とは
加算の目的
介護職員等処遇改善加算は、介護の仕事に携わる職員の賃金改善や、働きやすい職場づくりを進める事業所を評価する加算です。
加算によって得た収入は、職員の賃金改善に充てることが求められます。
令和6年(2024年)6月の一本化
令和6年(2024年)6月から、それまでの3つの加算が「介護職員等処遇改善加算」に一本化されました。
3つの加算とは、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算です。
加算の仕組みをわかりやすくし、事務の負担を減らすことがねらいとされています。
令和8年度(2026年度)の臨時改定
厚生労働省の資料によると、令和8年度(2026年度)には臨時の介護報酬改定が行われ、改定率は+2.03%(うち処遇改善分+1.95%)とされました。
滋賀県の案内では、処遇改善加算の見直しは令和8年(2026年)6月から行われるとされています。
この見直しは、介護職員だけでなく、介護従事者にも幅広く賃上げを実現するためのものとされています。
また、訪問看護や訪問リハビリテーション、居宅介護支援などにも、新たに処遇改善加算が設けられることになりました。
一本化後の加算区分と加算率
加算区分の構成
令和8年度(2026年度)の臨時改定では、加算区分のうち(I)と(II)が、それぞれ「イ」「ロ」に細分化されました。
滋賀県の案内では、改定前の加算(I)または(II)を取得している事業所は、加算区分を必ず変更することになるとされています。
加算率の例(介護老人福祉施設)
厚生労働省の資料では、介護老人福祉施設の加算率は次のように示されています。
- 加算(I)イ:16.3%
- 加算(I)ロ:17.6%
- 加算(II)イ:15.9%
- 加算(II)ロ:17.2%
- 加算(III):13.6%
- 加算(IV):11.3%
加算率はサービスの種類によって異なるため、各サービスの加算率は厚生労働省の資料で確認してください。
算定要件の全体像
キャリアパス要件
厚生労働省の資料では、キャリアパス要件として、次のような内容が示されています。
- 要件I・II:賃金体系などの整備と、研修の実施など
- 要件III:昇給の仕組みの整備
- 要件IV:改善後の賃金年額が440万円以上となる職員の配置
- 要件V:経験や技能のある介護職員の配置
上位の区分ほど、満たすべき要件が多くなります。
月額賃金改善要件
加算による賃金改善のうち、加算(IV)相当額の2分の1以上を、基本給など月額の賃金で配分することが求められています。
職場環境等要件
職場環境等要件は、職員が働きやすい職場をつくるための取り組みを求める要件です。
次の観点から、区分ごとに一定数以上の取り組みを行うことが求められています。
入職の促進、資質の向上やキャリアアップ、両立支援や多様な働き方の推進、心身の健康管理、生産性の向上、やりがいや働きがいの醸成です。
区分ごとに必要な取り組みの数は加算区分によって異なるため、通知やQ&Aで確認してください。
令和8年度の新たな要件
厚生労働省の資料では、令和8年度(2026年度)の特例として、施設サービスなどでは、生産性向上推進体制加算(I)または(II)を取得していることなどが要件として示されています。
どの区分にどの要件がかかるかは、通知やQ&Aで確認してください。
また、キャリアパス要件I・IIと職場環境等要件については、令和8年度中に対応することを誓約すれば算定できる、猶予の措置が設けられています。
職場環境等要件の取り組み方
1.施設の課題に合った取り組みを選ぶ
職場環境等要件は、取り組みの数を満たすことだけが目的ではありません。
離職の理由や職員の声をもとに、施設の課題に合った取り組みを選ぶことで、定着につながる効果が期待できます。
2.生産性向上の取り組みを位置づける
令和8年度の見直しでは、施設サービスなどで生産性向上推進体制加算の取得が要件として示されるなど、生産性向上の取り組みの重要性が高まっています。
見守り機器の導入や記録の電子化に加え、業務の手順や役割分担の見直しなど、職員の負担を減らす取り組みを計画的に進めることが大切です。
3.取り組みを記録し、職員に伝える
取り組んだ内容は、計画書や実績報告に正しく記載できるよう記録しておきます。
あわせて、職員に取り組みの内容や賃金改善の方法を伝えることで、制度への理解と納得感が高まりやすくなります。
処遇改善の原資を生かす経営の工夫
処遇改善加算は、賃金改善に充てることが前提の加算です。
そのため、施設の経営を安定させるには、加算以外の部分で、業務の効率化やコストの見直しを進めることも欠かせません。
なお、令和8年度(2026年度)の改定では、食費の基準費用額の引き上げ分として、+0.09%の改定率も示されています。
食事提供のあり方を見直す、きっかけにもなるでしょう。
たとえば、完全調理済み冷凍食品を活用すると、施設での作業は温めと盛り付けが中心になり、調理にかかる人手や時間を抑えやすくなります。
厨房業務の負担を減らすことは、生産性向上の取り組みとしても位置づけやすいと考えられます。
ただし、冷凍庫などの保管スペースが必要になることや、献立の自由度が下がる場合があることには注意が必要です。
導入前に試食をして、入居者に合う味や食形態かどうかを確認することをおすすめします。
よくある質問
Q.介護職員以外の職員にも配分できますか?
令和8年度(2026年度)の見直しでは、介護職員だけでなく、介護従事者にも幅広く賃上げを実現する方向が示されています。
配分の方法や対象となる職種の細かな扱いは、通知やQ&Aで確認してください。
Q.計画書はいつまでに提出しますか?
滋賀県の案内では、令和8年度(2026年度)の処遇改善計画書の提出期限は、次のとおりとされています。
- 4月・5月から算定を始める場合:令和8年4月15日
- 6月・7月から算定を始める場合:令和8年6月15日
- 8月以降:算定を始める月の前々月の末日
提出期限は自治体によって異なる場合があるため、所管の自治体で確認してください。
まとめ
介護職員等処遇改善加算とは、介護の仕事に携わる職員の賃金改善や、職場環境の改善を進める事業所を評価する加算です。
令和6年(2024年)6月には、3つの加算が一本化されました。
令和8年度(2026年度)の臨時改定では、加算(I)(II)がイ・ロに細分化され、対象の拡大や、生産性向上推進体制加算の取得などの新たな要件が加わっています。
職場環境等要件は、数を満たすだけでなく、施設の課題に合った取り組みを選ぶことで、定着につながる効果が期待できます。
処遇改善とあわせて、厨房業務の効率化による生産性向上を検討している施設は、完全調理済み食品の活用も選択肢のひとつです。
クックデリは、介護施設向けに完全調理済み冷凍食品を提供しています。
資料ダウンロードや無料試食会を通じて、導入後のイメージをぜひご確認ください。
参考文献
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00073.html - 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第253回、令和8年1月16日)資料1「令和8年度介護報酬改定について」(那覇市 掲載資料)
https://www.city.naha.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/045/2026kaigohousyukaitei.pdf - 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」(鹿沼市 掲載資料)
https://www.city.kanuma.tochigi.jp/manage/contents/upload/69be0e2b998c3.pdf - 滋賀県「令和8年度介護職員等処遇改善加算処遇改善計画書の提出について」
https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kenkouiryouhukushi/koureisya/349333.html





