
献立の栄養バランスに自信が持てずお悩みではありませんか
「献立を考えるたびに、栄養バランスが気になる」「入居者が食べ残すので、栄養がとれているか不安」と感じている施設長や厨房責任者、管理栄養士の方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
高齢者施設の食事は、入居者の健康を毎日支える土台です。
本記事では、バランスの良い食事の基本と、高齢者施設での献立の考え方、栄養バランスを整えるポイントを解説します。
なお、データや基準に関する内容は、2026年10月時点で確認できる厚生労働省や農林水産省の資料をもとにしています。
バランスの良い食事とは
バランスの良い食事の基本は「主食・主菜・副菜」
バランスの良い食事とは、体に必要なエネルギーや栄養素を、過不足なくとれる食事のことです。
その基本となるのが、主食・主菜・副菜をそろえる組み合わせです。
- 主食:ごはん、パン、めん類など。主にエネルギー源になる
- 主菜:肉、魚、卵、大豆製品を使った料理。主にたんぱく質源になる
- 副菜:野菜、海藻、きのこ、いもを使った料理。ビタミンやミネラル、食物繊維の供給源になる
食事バランスガイドの考え方
厚生労働省と農林水産省は、平成17年(2005年)6月に「食事バランスガイド」を策定しました。
食事バランスガイドでは、1日に「なにを」「どれだけ」食べたらよいかを、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の区分で示しています。
コマのイラストを使って、わかりやすく表しているのが特徴です。
コマのイラストには、水・お茶や運動、菓子・嗜好飲料も描かれており、食事だけでなく、生活全体のバランスを意識できるようになっています。
高齢者にとってのバランスの良い食事
低栄養の予防を意識する
厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると、65歳以上で低栄養傾向(BMI20以下)の人の割合は、男性12.4%、女性20.7%と報告されています。
高齢者の場合、食べすぎよりも、食べる量が減ることによる低栄養のほうが課題になりやすいと考えられます。
たんぱく質を意識してとる
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、65歳以上のたんぱく質の推奨量は、男性で1日60g、女性で1日50gとされています。
筋肉量を維持するためにも、毎食の主菜でたんぱく質をとることが大切です。
量よりも「食べきれること」を重視する
献立の栄養量が十分でも、入居者が食べきれなければ、必要な栄養はとれません。
高齢者施設では、提供する栄養量だけでなく、実際に食べた量(喫食率)を確認しながら、食べきれる量と内容に調整することが大切です。
高齢者施設の献立の基本
1食の基本の組み合わせ
高齢者施設の献立は、次のような組み合わせを基本に考えると、整えやすくなります。
- 主食:ごはん、軟飯、全がゆなど、入居者の食形態に合わせたもの
- 主菜:魚、肉、卵、大豆製品の料理を1品
- 副菜:野菜や海藻、きのこを使った料理を1~2品
- 汁物:みそ汁やスープ。塩分のとりすぎに注意して量や回数を調整する
- その他:牛乳・乳製品や果物を、食事やおやつで補う
1日・1週間で整える考え方
毎食すべてを完璧にそろえるのは、難しい場合もあります。
1日の3食とおやつ、さらに1週間の献立全体で確認すると、バランスを整えやすくなります。
たとえば、主菜の食材が肉や魚に偏りすぎていないか、野菜の量が不足していないかといった点です。
栄養バランスを整える5つのポイント
1.毎食主菜でたんぱく質源をそろえる
魚、肉、卵、大豆製品を毎食の主菜に取り入れ、食材を日ごとに変えることで、たんぱく質を安定してとりやすくなります。
噛みにくい肉は、ひき肉やあんかけにするなど、食べやすさにも配慮します。
2.副菜で野菜や海藻、きのこをとる
副菜は、ビタミンやミネラル、食物繊維をとるために欠かせません。
煮物やおひたし、和え物など、やわらかく調理しやすい料理を組み合わせると、高齢者にも食べやすくなります。
3.牛乳・乳製品や果物を取り入れる
牛乳・乳製品は、たんぱく質やカルシウムをとりやすい食品です。
果物は、ビタミンや水分の補給にも役立ちます。
食事でとりきれない場合は、おやつの時間に取り入れる方法も考えられます。
4.味付けは減塩とおいしさを両立させる
塩分を控えることは大切ですが、味が薄すぎると食欲が落ち、食べる量が減ってしまう場合があります。
だしのうま味や香味野菜、酸味を活用して、塩分を控えながらもおいしく食べられる工夫が求められます。
5.食形態が変わっても栄養バランスを保つ
ソフト食やミキサー食は、水分を加えて調整するため、同じ量でも栄養量が少なくなる場合があります。
食形態が変わっても、主食・主菜・副菜の組み合わせを保ち、必要に応じて栄養を補う工夫をすることが大切です。
栄養バランスの良い食事を続けるうえでの課題
高齢者施設では、栄養バランスに加えて、食形態への対応、療養食の作り分け、衛生管理など、食事づくりに求められることが多くあります。
介護保険施設では、令和6年(2024年)4月から栄養ケア・マネジメントが基本サービスとして義務化されました。
入居者ごとの栄養管理の重要性は、高まっています。
一方で、調理員の不足や食材費の高騰により、献立の工夫まで手が回らないと感じている施設も少なくないと考えられます。
献立づくりの負担を減らす選択肢
施設内で献立をつくり調理する場合
入居者の好みや地域の食文化を、献立に反映しやすい点がメリットです。
一方で、栄養計算や献立の作成、食形態ごとの作り分けに手間がかかり、管理栄養士や調理員の負担が大きくなる点がデメリットと考えられます。
完全調理済み食品を活用する場合
栄養バランスに配慮した献立の完全調理済み冷凍食品を活用すると、献立づくりや調理の負担を抑えやすくなります。
施設での作業は温めと盛り付けが中心になるため、空いた時間を入居者ごとの栄養管理や食事の見守りに回せることも、メリットのひとつです。
ただし、冷凍庫などの保管スペースが必要になることや、献立の自由度が下がる場合があることには注意が必要です。
導入前に試食や献立・栄養成分の確認を行い、施設の方針や入居者に合うかどうかを確認することをおすすめします。
よくある質問
Q.入居者が食べ残す場合、栄養バランスはどう考えればよいですか?
食べ残しが多い場合は、どの料理を残しているかを確認することが大切です。
主菜を残している場合は、たんぱく質が不足しやすくなります。
量を調整したり補食を取り入れたりするなど、管理栄養士が、実際にとれている栄養量をもとに対応を検討します。
Q.ソフト食やミキサー食でも栄養バランスは整えられますか?
整えられます。
主食・主菜・副菜それぞれを食形態に合わせて調整し、栄養量が不足する場合は、栄養を強化した食品を組み合わせるなどの工夫が考えられます。
まとめ
バランスの良い食事とは、主食・主菜・副菜をそろえ、必要なエネルギーや栄養素を過不足なくとれる食事のことです。
高齢者施設では、低栄養の予防とたんぱく質の確保を意識し、食べきれる量や食形態に合わせて献立を整えることが大切です。
献立づくりや調理の負担が大きく、栄養バランスの工夫まで手が回らないと感じている施設は、完全調理済み食品の活用も選択肢のひとつです。
クックデリは、高齢者施設向けに完全調理済み冷凍食品を提供しています。
資料ダウンロードや無料試食会を通じて、実際の味や献立をぜひご確認ください。
参考文献
- 農林水産省「「食事バランスガイド」について」
https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/ - 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html - 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001734207.pdf - 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 資料「口腔・栄養、一体的取組」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001744920.pdf





