
とろみの濃さが職員によってばらばらでお悩みではありませんか
「同じ入居者のお茶なのに、作る職員によってとろみの濃さが違う」「とろみの段階をどう決めればよいかわからない」と感じている施設長や厨房責任者、介護職員の方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
とろみは、飲み込む力が弱くなった入居者が、安全に水分や食事をとるための大切な工夫です。
本記事では、とろみ食の意味と、学会分類にもとづくとろみの3段階を整理したうえで、作り方のポイントと濃さの確認方法を解説します。
なお、基準に関する内容は、2026年10月時点で確認できる学会や公的機関の資料をもとにしています。
とろみ食とは
とろみ食の意味
とろみ食とは、飲み物や汁物、料理にとろみをつけて、飲み込みやすくした食事のことです。
とろみは主に、とろみ調整食品と呼ばれる粉末などを使ってつけます。
お茶や水だけでなく、みそ汁やスープにとろみをつけたり、あんかけにして料理全体をまとめたりする場合もあります。
とろみが必要になる理由
さらさらした液体は、口の中で広がりやすく、のどへ流れ込む速さも速いのが特徴です。
そのため、飲み込む力が弱い人では、飲み込むタイミングがずれて気管に入りやすいと言われています。
とろみをつけると液体がまとまり、ゆっくりのどへ送られるため、むせや誤嚥のリスクを減らすことにつながると考えられます。
一方で、とろみが必要かどうか、どの程度必要かは人によって異なるため、評価にもとづいて決めることが大切です。
とろみの段階(薄い・中間・濃い)
日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「嚥下調整食分類2021」では、とろみを次の3段階に分けています。
ここでは、学会分類2021(とろみ)早見表に示されている目安を紹介します。
段階1:薄いとろみ
飲んだときに「とろみがついている」と感じる程度で、ストローでも容易に吸える濃さです。
スプーンを傾けると、すっと流れ落ちます。
粘度の目安は50~150mPa・s、LST値は36~43mmとされています。
段階2:中間のとろみ
明らかにとろみがあることを感じ、舌の上でまとめやすい濃さです。
スプーンを傾けると、とろとろと流れます。
粘度の目安は150~300mPa・s、LST値は32~36mmとされています。
段階3:濃いとろみ
明らかにとろみがついていて、飲むというより食べる感覚に近い濃さです。
スプーンを傾けても形がある程度保たれて流れにくく、ストローで吸うのは難しいとされています。
粘度の目安は300~500mPa・s、LST値は30~32mmとされています。
とろみが濃すぎる場合の注意点
とろみは、濃ければ安全というわけではありません。
濃すぎるとべたつきが出て、口やのどに残りやすくなる場合があると言われています。
また、飲みにくさから水分をとる量が減り、脱水につながるおそれもあります。
入居者に合った段階を選ぶことが大切です。
とろみ食の作り方のポイント
とろみ調整食品の基本
とろみ調整食品は、飲み物や食べ物に混ぜるだけでとろみをつけられる食品です。
製品によって、とろみがつくまでの時間や、同じ量で得られる濃さが異なります。
使用する製品の説明書に記載された分量の目安を確認したうえで使うことが基本です。
うまく作るための5つのポイント
1.計量して入れる
目分量で入れると、作る人によって濃さが変わる原因になります。
付属のスプーンや計量スプーンを使い、飲み物の量に対して決められた量を入れることが大切です。
2.入れたらすぐにかき混ぜる
とろみ調整食品を入れたら、ダマにならないよう、すぐにかき混ぜます。
ダマが残ると口の中で塊になり、飲み込みにくくなるおそれがあります。
3.とろみが安定するまで待つ
とろみは、入れた直後よりも、少し時間がたってから安定する製品が多いと言われています。
すぐに濃さを判断して追加すると、濃くなりすぎる原因になります。
製品の説明書にある時間を目安に、待つことが大切です。
4.飲み物の種類に注意する
牛乳や濃厚流動食、果汁など、飲み物の種類によっては、とろみがつきにくい場合や、つくまでに時間がかかる場合があります。
製品の説明書で使い方を確認し、必要に応じて分量や混ぜ方を調整します。
5.作り置きは避ける
時間がたつと、とろみの濃さが変わったり、衛生面で問題が生じたりするおそれがあります。
できるだけ、提供する直前に作ることが望ましいと考えられます。
とろみの濃さを確認する方法
見た目で確認する方法
スプーンですくって傾けたときの流れ方や、カップを傾けたときの付着の様子で、おおまかな段階を確認できます。
早見表の写真や説明を厨房や食堂に掲示しておくと、職員が確認しやすくなります。
シリンジ法で確認する方法
学会分類2021では、10mlのシリンジ(注射筒)を使った簡易的な確認方法も示されています。
シリンジにとろみをつけた液体を入れて10秒間流し、残った量で段階を判断する方法です。
早見表では、残った量が2.2~7.0mlであれば薄いとろみ、7.0~9.5mlであれば中間のとろみ、9.5~10.0mlであれば濃いとろみの目安とされています。
特別な機器がなくても確認できるため、施設内の基準をそろえる方法として取り入れやすいと考えられます。
高齢者施設でとろみ食の品質をそろえる工夫
施設内で使うとろみ調整食品の種類をそろえ、飲み物ごとの分量を一覧表にしておくと、職員による差を減らしやすくなります。
入居者ごとのとろみの段階は食札などに記載し、配膳の前に確認できるようにしておくことが大切です。
とろみの段階を変更したときは、厨房と介護職員の両方に確実に伝わる仕組みを作っておきましょう。
とろみ食を含む食事の提供体制の選択肢
施設内で調理する場合
入居者一人ひとりに合わせて、とろみの濃さを細かく調整しやすい点がメリットです。
一方で、汁物やあんかけなど、料理ごとにとろみを調整する手間がかかり、品質がばらつきやすい点がデメリットと考えられます。
完全調理済み食品を活用する場合
完全調理済み冷凍食品を活用すると、施設での作業は温めと盛り付けが中心になり、料理の仕上がりのばらつきを抑えやすくなります。
空いた時間を、飲み物のとろみの確認や食事介助に回せることも、メリットのひとつです。
ただし、冷凍庫などの保管スペースが必要になることや、献立の自由度が下がる場合があることには注意が必要です。
導入前に試食をして、入居者に合う味や食形態かどうかを確認することをおすすめします。
よくある質問
Q.とろみは濃いほど安全ですか?
濃いほど安全というわけではありません。
濃すぎると、口やのどに残りやすくなる場合があります。
医師や言語聴覚士などの評価にもとづいて、入居者に合った段階を選ぶことが大切です。
Q.お茶だけでなく汁物にもとろみが必要ですか?
とろみが必要な入居者には、みそ汁やスープなどの汁物にもとろみをつけるのが一般的です。
具の大きさやかたさも食形態に合わせて調整し、汁と具がばらけないようにする工夫が必要です。
まとめ
とろみ食とは、飲み物や料理にとろみをつけて飲み込みやすくした食事のことで、学会分類2021では、薄いとろみ・中間のとろみ・濃いとろみの3段階に分けられています。
作るときは、計量してすぐにかき混ぜ、とろみが安定するまで待つことが基本です。
シリンジ法などで濃さを確認すると、施設内の基準をそろえやすくなります。
厨房の負担が大きく、とろみの確認や食事介助に時間を割けないと感じている施設は、完全調理済み食品の活用も選択肢のひとつです。
クックデリは、高齢者施設向けに完全調理済み冷凍食品を提供しています。
資料ダウンロードや無料試食会を通じて、実際の味や食形態をぜひご確認ください。
参考文献
- 日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食分類2021」
https://www.jsdr.or.jp/doc/classification2021.html - 富山県 掲載資料「学会分類2021(とろみ)早見表」(出典:日本摂食嚥下リハビリテーション学会誌25(2):135-149、2021)
https://www.pref.toyama.jp/documents/10433/5_gakkaibunnrui2021_toromi_hayamihyou.pdf





