特別養護老人ホーム 桜テラス平岡 様
https://s-senior.or.jp/activity/sakura-terrace/| 業態 | 特別養護老人ホーム |
|---|---|
| 法人名 | 社会福祉法人札幌シニア福祉機構 |
| 定員 | 82名 |
| 導入時期 | 2026年 4月 |
| 取材 | 施設長 芦﨑祐公 様 管理栄養士 本平史香 様 栄養士 田名部真悠子 様 |
【施設情報】
2025年7月に移転新築を遂げた桜テラス。福祉避難所にもなる地域交流スペースや非常時でも電源を
確保できる都市ガスによる自立式ガスシステム設置により万全な災害対策を確立している。
また各フロアで掃除を完結できるダストシューターの設置、見守りカメラ等も完備するなど、
職員の労力削減と持続的な施設づくりに配慮したアイデア満載の特養として地域から注目を集める。
この事例の3つのPoint
Point1.ガス代月40万円カット、運営費1,000万円削減の見通し
Point2.クックデリの配送システム・献立の種類・禁食対応・対話力を評価
Point3.早朝出勤1時間繰り下げと発注時間削減で労力負担を軽減
クックデリ導入前に抱えていた食事の課題を教えてください。
―給食委託費の高騰―
芦﨑様年間約6,000万円以上を費やしていた給食運営費の高騰です。委託費については、おそらく他施設と比べるとリーズナブルなほうであったとは思いますが、毎年のように値上げ要請がありましたから、その対応も限界に近づいていたころでした。同じ法人内で先行して給食委託から直営による完調品運営に切り替えた特養があったため、完調品への抵抗感はそれほどありませんでしたし、年間1,000万円の給食運営費の削減実績も出していたことから将来的なシフトチェンジを決断しました。とはいえ目先には移転新築が迫っていたことから、ひとまず新施設には再加熱キャビネットとプレハブ冷凍庫を設置しておくことにしました。
そうして移転新築から5か月後、委託会社に契約更新をしないことを伝え、準備を進めました。
数多くの完調品メーカーのなかからクックデリを選んでいただけた理由をお教えください。
ー盤石な配送システムや提案力ー
本平様法人内の特養がクックデリさんの完調品を使っていたため存在は知っていましたが、あらためて他社情報も集めて検討しました。その結果クックデリさんは、①配送拠点が札幌市内にある、②献立の種類が豊富、③禁食対応の柔軟さ――が特に評価できました。コスト面では安いメーカーもあったのですが、必要な栄養価を満たすためにいろいろオプションとして付加せざるを得ず、最終的には価格が上がってしまうことがわかったため、その点でもクックデリさんが優位でした。
芦﨑様あとはクックデリさんの抜きんでた対話力や提案力も決め手となりました。メーカーさん側としては、既存プランのなかで決着したいというのが本音でしょうが、こちらも譲れない条件があります。できる限りコストを抑えつつ理想の食事を提供できるような提案をたくさんしていただきました。その一方、対話を重ねるうちに私の考えが変化することも多々ありました。たとえば、おかずは品数を重視していたのですが、自然と食が細くなっていくご利用者には必要な栄養価の食事量を食べきれるほうが望ましいといったことです。こういった対話があったがゆえ、私の腹が決まりました。やはり最後は人と人との関係性が大切だと強く思いましたね。
▲食欲をそそるよう工夫を凝らしたある日の献立
直営化の体制構築はどのようにすすめましたか。
―綿密な作業工程の作成や業務理解を深める研修会の開催ー
田名部様給食委託会社からは、栄養士である私を含め4名が残りました。そのほかは未経験のスタッフになる想定で、全員がすべての作業が万遍なくできるようなオペレーション体制を考えました。朝は再加熱キャビネットを活用することで、人数は従前同様2人から変わらないものの出勤時間を1時間遅らせることができました。そこからは、衛生面の問題が生じないよう、余裕を持たせ過ぎずかつギリギリにはならないような作業工程を意識して組み立てました。
また食形態は、常食、2㎝一口大、1㎝一口大、キザミを用意していたのですが、現在は2㎝一口大を廃止して3種類にしています。
芦﨑様人材確保については、とにかく田名部栄養士が残ってくれたのは大きかったのですが、新規採用については難しさを感じています。新聞の折り込み広告と近隣住宅へのポスティングによって、募集人数に対して約3倍の方に応募いただいたのですが、ほとんどが高齢の方でした。給食業務は肉体労働が多いため、いざ働いてみたら体力的に付いていけなかったケースが生じてしまったため、現在は面接の際に実際に食器トレーを持ち上げてもらうなど、互いにミスマッチが起こらないよう努めています。
朝の洗浄業務にはスポットワークの方にも入ってもらっており、なかには互いの条件が合致して直接雇用に切り替えた方もいます。ちなみに最初のころは私も洗浄作業に入っていたのですが、案外、スタッフとのコミュニケーションの場にもなって良いものだと思っています。最近はメンバーに入れてもらえず寂しいですが(笑)
また、採用時には厨房業務についてあらかじめ研修も開催し、理解を深めてもらっています。
▲厨房業務の研修プログラム
導入の成果はいかがですか。
―コストカットを実現、2年目は1,000万円を目指すー
芦﨑様第一の目標であったコスト面については、委託費は無くなったものの求人広告費が想定以上にかかってしまったこともあり、初年度については目標の1,000万円には届きそうにもありません。ですが、確実にコストカットはできていますし、2年目以降は実現できると見込んでいます。ガス代については月額約70万円から約30万円へとカットできています。
田名部様ベースの献立が完成されているため、発注業務にかかる時間が圧倒的に削減できました。運営が軌道に乗れば、私も厨房業務から事務業務に時間を費やすことができると考えています。プレハブ冷凍庫での検品作業なども効率的に行うことができています。
本平様ご利用者には特にご当地食がとても好評です。印象に残っているのは和歌山県の「釜揚げしらす丼」や「紀州南高梅ジュレ」、沖縄県の「沖縄風そば」です。毎日の食事も柔らかい食感で食べやすく、残食が減りました。
今後、行事食については、盛り付けを工夫するなど、さらに充実させたいと考えています。食事はデイサービスの稼働にも大きく関わるものですから、どうしたらもっとご利用者に楽しんで味わっていただけるかを考えていきたいですね。
▲新築にあたり、冷蔵庫・冷凍庫は非常時に自家発電機から電力を供給する赤いコンセントを適用し、何があっても食事を提供できる仕組みを確立
▲プレハブ冷凍庫内では完調品をバットで仕分けし、使い勝手を重視
完調品導入を考えているご施設にアドバイスをお願いします。
ー現場の理解に努め賛同者を増やすー
芦﨑様当法人は25年ほど前には直営で給食運営を行っていたのですが、当時から事務処理の煩雑さには悩まされていましたし、グループの特養が先行して完調品を導入したときは私自身、懐疑的でした。しかし施設経営が厳しさを増すなか、やはり明確なコストメリットが出る以上はやるしかなかったというのが正直なところです。
やってみて痛感しているのは、一緒に前向きに取り組んでもらえる人をいかに集められるかがカギになるということ。今回、核になってくれた本平と田名部をはじめ、賛同してアイデアを出してくれる仲間がいなければ決して達成できないことだったと思います。管理者自らときには現場に介入して対話を重ね、課題や悩みを一緒にクリアにしていく努力が不可欠だと感じています。
▲居心地抜群のスタッフルームは芦﨑施設長が特にこだわった空間だ
ありがとうございました。



