特別養護老人ホーム うずまさ共生の郷 様
https://www.shimei-f.net/| 業態 | 特別養護老人ホーム |
|---|---|
| 法人名 | 社会福祉法人京都紫明福祉会 |
| 定員 | 特養80名、ショートステイ10名 |
| 導入時期 | 2026年 4月 |
| 取材 | 施設長 田中考行 様 管理栄養士 吉野早葉子 様 |
【施設情報】
法人理念は「人権を視座とし共に生きる」。一部、聴覚障がい者のユニットも設けるなど、地域福祉の増進を図るとともに共生のまちづくりを推進中。
見守りシステムやノーリフティングケアを取り入れ、ご利用者と職員双方から選ばれる施設づくりをめざす。
マスコットキャラクター「きょうにゃん」の愛らしさにも要注目。
▲左から管理栄養士の吉野早葉子様、施設長の田中考行様
この事例の3つのPoint
Point1.介護職員によるユニット提供で人件費を削減
Point2.汁物廃止によってトロミ剤費用もダウン
Point3.個別ケアの促進&ワーク・ライフ・バランスが向上
クックデリ導入前に抱えていた食事の課題を教えてください。
―他社完調品の質の低下と価格高騰―
田中様開設当初は給食委託による運営だったのですが、6年ほど前に直営化を図り、他社の完調品を導入しました。しかしながら年々、味や食感、献立構成などにおいて明らかに質の低下が目立ち始めたのです。にもかかわらず値上げもあったため切り替えを検討することにしました。
吉野様まずはインターネットで完調品メーカーを調べることにしました。この時点での採用条件としては、価格の安さはもちろんソフト食とミキサー食の有無、おやつの取り扱いの有無、発注締め切りの期間などを重視しました。そうしてクックデリさんを含め4社ほどをピックアップし、いずれもサンプルを取り寄せました。その結果、試食会まで実施したのはクックデリさんのみ。味がダントツでした。
田中様揚げ物は食べやすいのにサクッとした食感がちゃんと残っていたし、だし巻き卵も感動するくらい美味しかった。野菜なども本来の噛み応えが適度に残っていて自然な味わいでした。「安いのにおいしいってどういうことだろう」と混乱したほどです(笑)。自分たちが食べておいしくないものは、ご利用者には食べてほしくないというのが当施設の基本スタンスです。クックデリさんの完調品は、自分たちが食べて「おいしい」と確信できたから、切り替えることにしました。
▲庭を眺められるロビー
成果の一つとして明確なコスト削減を実現できたそうですね。
ー他社完調品から年間1,000万円超を削減ー
田中様かなりの成果が出ました。他社完調品を使用していたときの給食運営の月額コストは380万円ほどで、年間にすると約4,600万円かかっていました。それがクックデリさんに替えたところ、年間約3,800万円となり、約800万円も削減することができました。さらに汁物をやめてその分のトロミ剤が削減できたことにより、追加で年間19万円ほどのコストカットもかなっています。
給食委託による運営をしていた頃にさかのぼっても、当時は年間約4,800万円の支出でしたから、トロミ剤のカット分を考慮すると約1,000万円もの削減を実現できているということになります。
大幅なコスト削減を実現できた鍵はどこにありますか。
―介護職員によるユニット提供で人件費を削減ー
田中様やはり人件費が大きいです。クックデリさんにしてから総コストの25%弱に抑えられているのですが、その一つは省人化の策として朝食を各ユニットの介護職員が担う体制へと変更したことにあります。それまで朝6時に2人の調理員を配置していたのですが、これ以降は1人を7時30分、もう1人は9時へ後ろ倒しできています。そもそも早朝の求人を出したところで当施設は職員駐車場の用意はないですし、近くに住んでいる職員以外は集まる見込みもありません。多少余裕のある出勤になって厨房職員はよろこんでいますし、ワーク・ライフ・バランスという意味でもプラスになっていると思います。
吉野様厨房では温めて各ユニット分の食事を分けるだけにし、あとは夜勤明けや早朝出勤の介護職員が湯せんして盛り付けを行っています。何度かクックデリさんからレクチャーにも来てもらいましたし、手順書を見れば湯せんの時間やポイントもわかるので、戸惑いなくやれています。
決して小さくはない改革に取り組んでこられたのですね。
―ユニットケアと親和性の高いソフト食ー
田中様思い切って改革に取り組んでみたことで、少し意外なメリットもいくつか生まれています。一つは、ユニットで介護職員が食事準備をすることが、個別ケアにつながっているという点です。やはりご利用者に最も近いのが介護職員ですから、日々の体調や食の好み、入れ歯を修理中であるといった細かな状態も考慮した食事に調整できるのです。まさにユニットケアと相性の良い食事スタイルだと感じています。
吉野様ソフト食なんかは一人分の個包装で納品されるため、調理終了後からの2時間ルールが解決し、いつでもできたての食事を召し上がっていただけています。
田中様汁物の廃止も当初は心配していましたが、案外クレームは出ていません。むしろ従前は朝食が2品だったのが、クックデリさんになって3品に増えて満足度は上がっているようです。なおかつ低栄養のご利用者には栄養補助ドリンクも付加していたのですが、それに味噌汁とお茶も加わって飲み切るのに一苦労していた側面もありました。今では食事からしっかり栄養が満たされるようになり、かえって良かったです。
当初の目的である食の満足度向上にもつながっているのですね。
ーソフト食のご利用者の喫食量が向上ー
吉野様残食が減っていることが何よりの証だと思います。特にソフト食は、栄養価を保ちながらも以前の食事の3分の2ほどのサイズになり、味も一定でしっかりしているので喫食量が上がっています。大体年間20名ほどのご利用者をお看取りしているのですが、最期の経口摂取の食形態としても活用しています。
田中様嚥下に課題があるがゆえ必要とする食事量も食べきれないわけですから、非常に理にかなったソフト食だと思っています。ありがたいですね。
ほかに食にかかわる取り組みは行っていますか。
ー居酒屋やマルシェ、家族交流会を開催ー
田中様当施設では、食事は「おいしさ」と「楽しさ」のいずれも欠けてはならないものだと考えています。その観点から毎月行っているのは〝居酒屋共生の郷〟です。女性のご利用者と比べて、男性はレクリエーションのような集団行動には消極的で、それを解決したいと思いつきました。居酒屋であれば仕事帰りに立ち寄ったり、家で晩酌することもあったはずだろうと想像し、男性が主役になれるイベントにしています。
また年に2回は、地元の飲食店30店舗ほどの露店が並ぶ「マルシェ」を開催しており、約400人の地域住民が集まって賑わう名物イベントになっています。
そして現在、準備に励んでいるのが秋フェスタ(家族交流会)です。ご家族とご利用者、職員がおいしいものを味わいながらおしゃべりしたり、ゲームなどを通じて交流するものです。今年の秋は、クックデリさんに変更になって以降、ご利用者の皆さんがこんなおいしいものを召し上がっているということをご家族に知ってもらいたい、という思いを込めて企画を立案。「inアメリカ」をテーマに、クックデリさんのメンチカツを使った「メンチカツバーガー」を主役にしたアメリカンな雰囲気で盛り上げようともくろんでいます。
吉野様実行委員会で試作も重ねており、おいしい一品ができあがりつつあります。ご利用者は普段から洋食好きな方が多いので、皆さん、喜んでいただけると思います。
▲職員が〝けん玉演舞〟を披露したマルシェ
▲秋フェスタで提供予定のメンチカツバーガー
最後に抱負をお願いします。
―選ばれる施設であり続けるー
田中様地域で存続していくためには、ご利用者ならびに働く人材にとっても、いかに選ばれる施設になれるかが問われます。そのためにも、施設の魅力を押し上げる一つとしてもより良い食事サービスに力を入れていきたいですね。
▲きょうにゃんも地域の人気者になりつつある
ありがとうございました。



