
食事の質と厨房の負担、どちらも諦めていませんか
「やわらかい食事にすると見た目が悪くなり、入居者の食欲が落ちてしまう」とお悩みではありませんか。
人手不足のなかで、食事の質と厨房の負担軽減を両立させたいと考える施設もあるのではないでしょうか。
本記事では、フードテックとは何か、介護・医療現場の食事を変える最新技術5選を、施設長・厨房責任者・管理栄養士の方に向けて解説します。
フードテックとは
フードテックとは、食と技術を組み合わせ、食品の生産、加工、調理、提供などの課題を解決しようとする技術や取り組みを指して使われる言葉です。
新しい食品をつくる分野から、調理や保存の技術まで、幅広い領域を含む言葉として使われています。
国の取り組み
農林水産省のページによると、2020年(令和2年)10月にフードテック官民協議会が設立されています。
協議会は、食や農林水産業の発展、食料安全保障の強化に役立つ新しい技術について、課題の解決や新しい市場の開拓を進めることを目的としています。
協議会には、植物由来の食品(プラントベース)や細胞農業、健康に関する食品機能、鮮度保持技術などをテーマとするワーキングチームが設けられています。
介護食の分類との関係
農林水産省は、介護食品の範囲を整理した「スマイルケア食」の枠組みを設けています。
栄養補給が必要な人向けの青マーク、噛むことに問題がある人向けの黄マーク、飲み込むことに問題がある人向けの赤マークに区分されています。
フードテックは、こうした食べる力に合わせた食事を、よりおいしく、効率よく提供するための手段としても注目されていると考えられます。
介護・医療現場でフードテックが求められる背景
人手不足
介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査」(2023年10月1日時点)では、従業員が「大いに不足」「不足」「やや不足」と回答した事業所が合計64.7%でした。
限られた人数で食事の質を保つには、技術の力を借りることも選択肢のひとつと考えられます。
食べる力に合わせた食事への対応
嚥下機能が低下した入居者には、ソフト食やミキサー食など、食べやすい形態での提供が必要です。
一方で、刻んだりミキサーにかけたりした食事は、見た目から料理がわかりにくくなるという課題もあると考えられます。
介護・医療現場の食事を変える最新技術5選
1.凍結含浸法
広島県立総合技術研究所 食品工業技術センターが監修した「凍結含浸法ガイドブック(第6版)」(令和6年(2024年)1月)では、凍結と解凍、減圧を組み合わせて食材の中心まで酵素を均一に浸透させ、形を保ったまま軟らかくする技術として紹介されています。
同資料では、普通食と同じ見た目のまま、食べる人に合わせた軟らかさに調整できるとされています。
病院での臨床試験で、摂食量の増加が報告されたことも紹介されています。
2.急速冷凍技術
高知県工業技術センターの資料(2016年3月号)では、食品が凍るときに氷の結晶が大きくなりやすい温度帯を短時間で通過させることで、氷の結晶を小さく抑え、品質の低下を防ぐ考え方が説明されています。
冷凍した料理の食感や風味を保つうえで、重要な技術と考えられます。
3.新調理システム
滋賀県が障害福祉サービスの食事提供体制加算について示した通知では、加熱調理後に急速冷却して冷蔵で保管するクックチルや、急速冷凍して保管するクックフリーズなどが示されています。
調理と提供の時間を分けられるため、厨房の作業を平準化しやすい方式です。
4.スチームコンベクションオーブン
青森県産業技術センター弘前工業研究所の機器紹介では、熱風と蒸気を単独または組み合わせて使える機器として紹介されています。
焼く、蒸すなどを一台でこなせるため、調理や再加熱の効率化に役立つと考えられます。
5.ICTや介護テクノロジー
献立や発注を管理するシステムなど、ICTの活用も厨房の業務を効率化する手段です。
厚生労働省は、介護ロボットやICT機器などの導入に対する補助を行っており、詳細は都道府県に問い合わせるよう案内しています。
厨房のシステムが補助の対象になるかどうかは、事前に確認が必要です。
フードテックを取り入れるメリットとデメリット
メリット
食事の見た目やおいしさを保ちながら、食べやすさや作業効率を高められる可能性があります。
凍結含浸法のように、見た目を保ったまま食べやすくする技術は、食事の楽しみにもつながると考えられます。
急速冷凍や新調理システムは、調理を計画的に行う助けになります。
デメリット
新しい機器や技術には導入費用がかかり、使いこなすための教育も必要です。
施設の規模によっては、費用に見合う効果が得られない場合もあると考えられます。
導入の進め方とチェックポイント
進め方
1.課題を整理する
食形態への対応、人手、コストなど、解決したい課題を明確にします。
2.技術や製品を比較する
課題に合う技術や製品について、費用と効果を比べます。
3.試食や見学で確かめる
試食会や導入施設の見学で、味と運用を確認します。
4.小さく始めて広げる
一部の献立や食事から試し、入居者の反応を見ながら広げます。
チェックポイント
厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、加熱調理食品は中心温度75℃以上で1分以上加熱することとされています。
新しい調理方法を取り入れる場合も、この基準を満たせるかどうかを確認しましょう。
施設種別・規模別の考え方
特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム
食数が多く、食形態の個別対応も多いため、技術を取り入れた効果を感じやすいと考えられます。
住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム
自施設で機器を導入するより、技術を活用してつくられた調理済み食品を取り入れるほうが現実的な場合もあります。
新規開設を予定している施設
どの技術を取り入れるかによって厨房の設備が変わるため、設計段階で検討しておくと安心です。
よくある質問
フードテックの導入には大きな投資が必要ですか?
自施設で機器を導入する場合は費用がかかりますが、技術を活用してつくられた食品を仕入れる方法もあります。
スマイルケア食とは何ですか?
農林水産省が介護食品の範囲を整理した枠組みで、青、黄、赤のマークで対象となる人を示しています。
まとめ
フードテックとは、食と技術を組み合わせて食の課題を解決しようとする技術や取り組みのことです。
介護・医療現場では、凍結含浸法、急速冷凍技術、新調理システム、スチームコンベクションオーブン、ICTなどが、食事の質の向上と厨房の効率化に役立つと考えられます。
施設の課題と規模に合わせて、取り入れる技術を選ぶことが大切です。
クックデリは、管理栄養士が作成した献立を、料理研究家監修の完全調理済み冷凍食品としてお届けしています。
自施設で新しい機器を導入しなくても、解凍や温めで提供できるため、厨房の負担を減らしたい高齢者施設におすすめです。
サービスの詳細は資料ダウンロードで、実際の味は無料試食会でお確かめください。
参考文献
農林水産省「新事業創出(フードテック等)」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sosyutu/index.html
農林水産省「スマイルケア食(新しい介護食品)」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/seizo/kaigo.html
公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査結果の概要について」
https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/
広島県立総合技術研究所 食品工業技術センター監修「凍結含浸法ガイドブック(第6版)」
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/573865.pdf
高知県工業技術センター「高知県工業技術センターだより(2016年3月号)」
https://www.pref.kochi.lg.jp/_files/00014601/platform201603-1.pdf
滋賀県「食事提供体制加算を算定する際の具体的な取扱いについて(通知)」
https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5531803.pdf
青森県産業技術センター弘前工業研究所「所有装置紹介 スチームコンベクションオーブン」
https://www.aomori-itc.or.jp/docs/2025052300029/files/10_sutimu.pdf
厚生労働省「介護サービス事業者の皆様へのお知らせ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000209634_00010.html
厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/content/000500653.pdf
クックデリ「介護施設・障がい者施設向け食事提供トータルサービス」
https://www.cookdeli.com/service/elderly/






