
調理後の冷却に手間がかかっていませんか
「作り置きした煮物がなかなか冷めない」とお悩みではありませんか。
加熱した料理を冷ます工程は、時間がかかるうえに、衛生面でも注意が必要です。
こうした冷却工程を効率よく、安全に行うための機器がブラストチラーです。
本記事では、ブラストチラーとは何か、急速冷却の仕組み、高齢者施設の厨房に必要とされる理由を、施設長・厨房責任者・管理栄養士の方に向けて解説します。
ブラストチラーとは
ブラストチラーとは、加熱調理した食品に冷たい風を当て、短時間で冷却する業務用の機器です。
「急速冷却機」とも呼ばれ、作り置きやクックチルを行う厨房で使われています。
冷蔵庫との違い
一般的な冷蔵庫は、冷えた食品を低温のまま保つための機器です。
加熱直後の料理を大量に入れると、冷えるまでに時間がかかり、庫内の温度が上がるおそれもあると考えられます。
ブラストチラーは、「冷やす」こと自体を目的としている点が異なります。
ショックフリーザーとの違い
ショックフリーザーは、食品を急速に凍結させる機器を指すのが一般的です。
ブラストチラーは、凍らせずに冷蔵温度まで下げる用途で使われることが多く、両方の機能を持つ機種もあります。
急速冷却の仕組み
冷風を強制的に循環させて熱を奪う
ブラストチラーは、庫内でファンを回して冷たい風を食品に当て続けることで、食品の熱を素早く奪います。
自然に冷ます場合と比べて、食品の表面付近に熱い空気がとどまりにくいため、冷却が早く進むと考えられます。
中心温度を確認しながら冷却する
食品の中心温度を測るセンサーを備えた機種では、設定した温度まで下がったことを確認できます。
冷却の記録を残しやすい点は、衛生管理の面でも役立つと考えられます。
高齢者施設の厨房に急速冷却が必要な理由
大量調理施設衛生管理マニュアルの冷却基準
厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、加熱調理後の食品を冷却する場合、30分以内に中心温度を20℃付近(または60分以内に中心温度を10℃付近)まで下げるよう工夫することとされています。
また、調理後すぐに提供しない食品は、10℃以下または65℃以上で管理することが必要とされています。
鍋ごと自然に冷ます方法では、この基準を満たすのが難しい場合があります。
ウエルシュ菌は緩慢な冷却で増えやすい
食品安全委員会のファクトシート(令和7年(2025年)4月更新)によると、ウエルシュ菌は熱に強い芽胞をつくり、12〜50℃の広い温度域で増殖します。
カレーや煮物などの大量調理食品が原因になることが多く、緩慢に冷却すると55℃付近から急速に増殖することが知られているとされています。
加熱調理後の料理を素早く冷ますことは、食中毒予防の基本と考えられます。
作り置きで調理の山をならせる
急速冷却を行えば、前日や空いた時間に調理した料理を冷蔵で保管し、提供するときに再加熱できます。
早朝や夕方に集中しがちな調理作業を分散でき、人手不足の厨房の負担軽減につながると考えられます。
急速冷却に対応する3つの方法
1.ブラストチラーを導入する
冷却時間を短縮し、温度管理も安定させやすい方法です。
一方で、導入費用や設置スペース、電源工事が必要になる場合があります。
2.小分けや冷水で冷却する
厚生労働省のマニュアルでも、冷却機の利用や小分けによる工夫が示されています。
費用はかかりませんが、人手と時間がかかり、温度記録の手間も残ります。
3.完全調理済み冷凍食品で施設内の冷却工程を減らす
完全調理済み冷凍食品は、工場で調理と冷却まで済ませた状態で納品されます。
施設では解凍や温め、盛り付けを行うため、施設内で加熱した料理を冷ます工程そのものを減らせます。
ブラストチラー導入のメリットとデメリット
メリット
冷却時間を短縮でき、衛生管理の基準に沿った温度管理を行いやすくなります。
作り置きによって作業を平準化できる点もメリットです。
デメリット
機器の購入費用や設置スペースが必要です。
また、クックチルで運用する場合は、冷却後の保管温度や再加熱の手順まで含めたルールづくりと記録が欠かせません。
導入前の進め方とチェックポイント
進め方
1.冷却が必要な料理と量を把握する
一日のうち、どの料理をどれだけ冷却しているかを書き出します。
2.運用方法を決める
当日提供のみか、作り置きまで行うかによって、必要な能力や運用ルールが変わります。
3.設置条件を確認する
設置スペース、電源、排熱の条件を、厨房の図面と照らし合わせて確認します。
4.衛生管理計画に反映する
冷却の温度と時間、記録方法を衛生管理計画に追加します。
チェックポイント
滋賀県の通知では、クックチルを、冷水または冷風で90分以内に中心温度3℃以下まで急速冷却し、3℃以下で保管、提供するときに中心温度75℃以上で1分間以上再加熱する方式として示しています。
作り置きを行う場合は、このような温度基準を満たせる運用になっているかを確認しましょう。
施設種別・規模別の考え方
特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム
食数が多く、煮物や汁物を大量に調理する施設では、冷却工程の負担が大きくなりやすいため、ブラストチラーの効果を感じやすいと考えられます。
住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム
食数が少ない施設では、機器の導入費用に見合うかどうかを慎重に比較する必要があります。
施設内で冷却する工程自体を減らす方法も選択肢になります。
新規開設を予定している施設
厨房の設計段階で、冷却をどの方法で行うかを決めておくと、設備の配置や電源の計画を立てやすくなります。
よくある質問
通常の冷蔵庫で代用できますか?
少量であれば対応できる場合もありますが、大量の料理を短時間で冷やすことは難しいと考えられます。
マニュアルの冷却基準を満たせるかどうかを、実際に温度を測って確認することが大切です。
クックチルの料理はどのくらい保存できますか?
保存期間は、施設の衛生管理計画で定める必要があります。
運用前に、所管の保健所などに確認しておくと安心です。
ブラストチラーを導入せずに冷却の負担を減らす方法はありますか?
小分けや冷水で冷やす方法のほか、完全調理済み食品を活用して、施設内で冷ます工程そのものを減らす方法があります。
まとめ
ブラストチラーとは、加熱調理した食品を冷風で短時間に冷却する業務用の機器です。
大量調理施設衛生管理マニュアルの冷却基準や、ウエルシュ菌などによる食中毒予防の観点から、高齢者施設の厨房では急速冷却が重要と考えられます。
ただし、導入には費用や設置条件があるため、施設の規模や運用に合った方法を選ぶことが大切です。
クックデリは、管理栄養士が作成した献立を、料理研究家監修の完全調理済み食品としてお届けしています。
解凍や温めで提供できるため、施設内での加熱調理や冷却の工程を減らしたい高齢者施設におすすめです。
サービスの詳細は資料ダウンロードで、実際の味は無料試食会でお確かめください。
参考文献
厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000036659.pdf
食品安全委員会「ファクトシート ウエルシュ菌食中毒」
https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_clostridiumperfringens.pdf
滋賀県「食事提供体制加算を算定する際の具体的な取扱いについて(通知)」
https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5531803.pdf
クックデリ「介護施設・障がい者施設向け食事提供トータルサービス」
https://www.cookdeli.com/service/elderly/





