
再加熱の仕上がりや温度管理でお悩みではありませんか
「温め直すと料理が乾いてしまう」「中心まで温まっているか不安」とお悩みではありませんか。
作り置きや調理済み食品を使う厨房では、再加熱の質が食事の満足度と安全性を左右すると考えられます。
本記事では、スチームコンベクションオーブンとは何か、高齢者施設で活用される理由、再加熱で押さえたい使い方3つを、施設長・厨房責任者・管理栄養士の方に向けて解説します。
スチームコンベクションオーブンとは
スチームコンベクションオーブンとは、熱風と蒸気を使って調理する業務用の加熱機器です。
「スチコン」と略して呼ばれることも多く、焼く、蒸す、煮るなど、ひとつの機器で複数の調理ができる点が特徴です。
3つの加熱モード
青森県産業技術センター弘前工業研究所の機器紹介(2021年6月)では、熱風だけ、蒸気だけ、または両方を組み合わせて使えると説明されています。
同資料では、熱風モードは約30〜300℃、スチームモードは約30〜100℃、両方を組み合わせるコンビネーションモードは約50〜300℃とされています。
温度の範囲は機種によって異なるため、導入時に確認が必要です。
オーブンや蒸し器との違い
一般的なオーブンは熱風で、蒸し器は蒸気で加熱します。
スチームコンベクションオーブンは両方を一台で使い分けられるため、料理に合わせて加熱方法を選べます。
京都市立羽束師小学校の給食だよりでは、釜ではできなかった焼き魚やグラタンなどの調理ができるようになったと紹介されています。
高齢者施設でスチームコンベクションオーブンが活用される理由
人手不足の厨房で調理工程をまとめやすい
介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査」(2023年10月1日時点)では、従業員が「大いに不足」「不足」「やや不足」と回答した事業所が合計64.7%でした。
焼く、蒸すなどを一台でこなせる機器は、少ない人数で厨房を回すうえで役立つと考えられます。
作り置きや冷凍の料理の再加熱に使える
滋賀県の通知では、クックチルやクックフリーズ、真空調理の料理を提供するときは、中心温度75℃以上で1分間以上再加熱することとされています。
大量の料理をまとめて再加熱できるスチームコンベクションオーブンは、こうした方式と組み合わせて使われることがあります。
食材費の上昇に合わせた計画的な運営
厚生労働省の資料によると、令和8年度(2026年度)に期中の介護報酬改定が行われ、介護保険施設などの食費の基準費用額は、令和8年(2026年)8月から1日あたり100円引き上げられ、1,545円となっています。
浜松市の案内では、食材料費の上昇などが背景とされています。
作り置きや再加熱を組み合わせた計画的な調理は、食材のむだを抑える運営にもつながると考えられます。
高齢者施設の再加熱で押さえたい使い方3つ
1.料理に合わせてモードを使い分ける
蒸気を使うモードは乾燥を抑えやすく、煮物や蒸し物、やわらかく仕上げたい料理の再加熱に向いていると考えられます。
焼き色や香ばしさを残したい料理には、熱風やコンビネーションのモードを選ぶとよいでしょう。
ソフト食など食感が大切な食形態では、試しに温めて仕上がりを確認してから運用を決めることが大切です。
2.中心温度を測って加熱を確認する
厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、加熱調理食品は中心温度75℃以上で1分以上加熱することとされています。
庫内の場所によって温まり方に差が出る場合もあるため、複数の料理の中心温度を測り、記録することが欠かせません。
3.提供までの時間と温度を管理する
同じマニュアルでは、調理後の食品は、調理終了後から2時間以内に喫食することが望ましいとされています。
また、すぐに提供しない食品は、10℃以下または65℃以上で管理することが必要とされています。
再加熱の開始時刻は、食事の時間から逆算して決めておきましょう。
スチームコンベクションオーブンのメリットとデメリット
メリット
一台で複数の調理ができ、大量の料理をまとめて加熱できます。
温度や時間を設定して加熱できるため、担当者による仕上がりの差を減らしやすいと考えられます。
デメリット
導入費用に加え、給水、排水、電源などの設備工事が必要になる場合があります。
また、庫内の清掃や定期的な点検など、日常の手入れも欠かせません。
導入の進め方とチェックポイント
進め方
1.再加熱する料理と量を整理する
1日に再加熱する料理の種類と量、時間帯を書き出します。
2.必要な能力と台数を検討する
一度に入れられる量と加熱時間から、必要な能力や台数を見積もります。
3.設置条件を確認する
設置スペース、給水と排水、電源の条件を、厨房の図面と照らし合わせて確認します。
4.試行して手順を決める
料理ごとにモード、温度、時間を試し、手順書にまとめます。
チェックポイント
中心温度の測定と記録の方法を、衛生管理計画に組み込んでおきましょう。
担当者が変わっても同じ設定で加熱できるよう、料理ごとの設定を一覧にしておくと安心です。
施設種別・規模別の考え方
特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム
食数が多い施設では、大量の料理をまとめて再加熱できる点が役立つと考えられます。
住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム
食数が少ない施設では、機器の大きさと導入費用が見合うかを確認し、既存の加熱機器で対応できないかもあわせて検討しましょう。
新規開設を予定している施設
給水、排水、電源の工事が必要になる場合があるため、厨房の設計段階で導入するかどうかを決めておくと安心です。
よくある質問
冷凍食品の解凍にも使えますか?
青森県産業技術センター弘前工業研究所の機器紹介では、用途のひとつとして冷凍食品の解凍調理が挙げられています。
ただし、商品ごとに推奨される解凍や加熱の方法があるため、表示に従うことが大切です。
再加熱で料理が乾燥しないようにするには?
蒸気を使うモードを選ぶ、ふたやラップで覆うなどの方法が考えられます。
料理ごとに試して、仕上がりのよい設定を記録しておきましょう。
スチームコンベクションオーブンがなくても調理済み食品は使えますか?
商品によって推奨される温め方が異なるため、施設にある機器で対応できるかどうかを事前に確認しましょう。
まとめ
スチームコンベクションオーブンとは、熱風と蒸気を使い分けて調理できる業務用の加熱機器です。
高齢者施設では、作り置きや冷凍の料理の再加熱に活用できる一方で、中心温度の確認と提供までの時間管理が欠かせません。
料理に合わせたモードの使い分け、中心温度の確認、時間と温度の管理という3つのポイントを押さえて運用しましょう。
クックデリは、管理栄養士が作成した献立を、料理研究家監修の完全調理済み冷凍食品としてお届けしています。
解凍や温めで提供できるため、再加熱を中心とした効率的な厨房運営を目指す高齢者施設におすすめです。
サービスの詳細は資料ダウンロードで、実際の味は無料試食会でお確かめください。
参考文献
青森県産業技術センター弘前工業研究所「所有装置紹介 スチームコンベクションオーブン」
https://www.aomori-itc.or.jp/docs/2025052300029/files/10_sutimu.pdf
京都市立羽束師小学校「給食だより(令和3年1月)」
https://cms.edu.city.kyoto.jp/117708/download/document/17684547
公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査結果の概要について」
https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/
厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675936.pdf
茨城県「令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費(補足給付)の見直しについて」
https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/chofuku/jigyo/kaigo/documents/6.pdf
浜松市「令和8年8月からの食費・居住費の負担限度額及び基準費用額の引き上げについて」
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kaigo/202408futangendogaku.html
滋賀県「食事提供体制加算を算定する際の具体的な取扱いについて(通知)」
https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5531803.pdf
厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/content/000500653.pdf
クックデリ「介護施設・障がい者施設向け食事提供トータルサービス」
https://www.cookdeli.com/service/elderly/





