
自施設に合う調理方式に迷っていませんか
「いまの調理方式のままで、厨房を回し続けられるだろうか」とお悩みではありませんか。
人手不足が続くなか、クックサーブ以外の調理方式を検討する施設もあると考えられます。
本記事では、クックサーブとは何か、クックチルやニュークックチル、クックフリーズとの違い、高齢者施設での選び方を、施設長・厨房責任者・管理栄養士の方に向けて解説します。
クックサーブとは
クックサーブとは、加熱調理した料理を冷蔵や冷凍をせずに、そのまま提供する調理方式です。
多くの施設で昔から行われている、調理してすぐに出す方法と考えるとわかりやすいでしょう。
クックサーブに関する衛生管理の基準
厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、調理後の食品は、調理終了後から2時間以内に喫食することが望ましいとされています。
また、滋賀県が障害福祉サービスの食事提供体制加算について示した通知では、施設外で調理したクックサーブの料理を運ぶ場合、中心温度65℃以上または10℃以下に保たれているときは、調理終了後2時間以内に喫食することとしています。
調理から提供までの時間と温度を管理することが、クックサーブの基本です。
4つの調理方式の違い
1.クックサーブ
加熱調理後、冷蔵や冷凍をせずに速やかに提供する方式です。
2.クックチル
滋賀県の通知では、加熱調理後に90分以内に中心温度3℃以下まで急速冷却し、3℃以下で保管、提供するときに中心温度75℃以上で1分間以上再加熱する方式として示されています。
3.ニュークックチル
クックチルと同様に冷却した料理を、冷えたまま盛り付けてから再加熱する方式です。
済生会中央病院の資料では、加熱調理後に90分以内に3℃以下に冷却し、冷えた状態のまま盛り付け、食事を出す直前に配膳車で再加熱すると説明されています。
4.クックフリーズ
滋賀県の通知では、加熱調理後に急速冷凍し、マイナス18℃以下で保管、提供するときに中心温度75℃以上で1分間以上再加熱する方式として示されています。
同じ通知では、食材を真空包装して低温で加熱する真空調理も、施設外調理の方式のひとつとして挙げられています。
4方式のメリットとデメリット
クックサーブ
できたての料理を提供でき、特別な冷却設備も必要ありません。
一方で、食事の時間に合わせて調理が集中するため、早朝や夕方に人手が必要になります。
クックチル
調理と提供の時間を分けられるため、作業を平準化しやすい方式です。
一方で、急速冷却の設備や、温度と時間の記録の手間が必要です。
ニュークックチル
盛り付けを前もって行えるため、提供直前の作業を減らしやすい方式です。
一方で、再加熱に対応した配膳車などの設備投資が必要になると考えられます。
クックフリーズ
冷凍で保管できるため、計画的に調理しやすい方式です。
厚生労働科学研究の報告では、施設へのインタビューで、嗜好性を維持できるという意見や、揚げ物を含めて献立の幅が広がる可能性が示されています。
一方で、急速冷凍の設備や冷凍庫の容量が必要です。
比較のポイント
できたての提供と設備投資の少なさを重視するならクックサーブ、作業の平準化を重視するならクックチルやクックフリーズが候補になります。
提供直前の盛り付け作業を減らしたい場合は、ニュークックチルも選択肢です。
いずれも、施設の人員と設備の条件によって向き不向きが変わります。
高齢者施設で調理方式が見直される背景
介護事業所の64.7%が人手不足を感じている
介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査」(2023年10月1日時点)では、従業員が「大いに不足」「不足」「やや不足」と回答した事業所が合計64.7%でした。
調理が食事時間に集中するクックサーブだけでは、少ない人数で厨房を回すことが難しくなる場合があると考えられます。
HACCPに沿った衛生管理への対応
和歌山県の案内によると、食品衛生法の改正により、令和3年(2021年)6月1日から、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められています。
どの調理方式でも、加熱、冷却、保管、再加熱の温度と時間を記録し、確認できる体制が必要です。
高齢者施設での選び方
進め方
1.食数と人員を整理する
1日の食数、厨房の人員、勤務時間帯を書き出します。
2.課題を明確にする
人手、早朝の作業、衛生管理、食形態への対応のうち、どこに課題があるかを整理します。
3.設備の条件を確認する
急速冷却や冷凍の設備、再加熱の機器、保管スペースの有無を確認します。
4.試行して確かめる
一部の献立や食事から試し、味と運用を確認してから本格的に切り替えます。
チェックポイント
冷却や冷凍を伴う方式では、再加熱の温度と時間を必ず守り、記録を残しましょう。
ソフト食やミキサー食など、入居者に必要な食形態に対応できるかどうかも確認が必要です。
施設種別・規模別の考え方
特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム
食数が多い施設では、クックチルやクックフリーズで作業を平準化する効果が大きいと考えられます。
住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム
食数が少ない施設では、大きな設備投資が見合わない場合もあります。
外部で調理済みの料理を活用し、施設内の工程を減らす方法も選択肢です。
新規開設を予定している施設
調理方式によって必要な設備が大きく変わるため、厨房の設計前に方式を決めておくことが大切です。
よくある質問
複数の調理方式を組み合わせることはできますか?
可能です。
たとえば、主菜はクックフリーズの料理を使い、汁物はクックサーブで調理するといった組み合わせも考えられます。
クックチルにはどのような設備が必要ですか?
急速冷却を行うブラストチラーなどの機器、3℃以下で保管できる冷蔵設備、再加熱の機器が主に必要です。
完全調理済み冷凍食品はどの方式に近いですか?
外部で加熱調理した料理を冷凍で保管し、施設で温めて提供するため、クックフリーズに近い考え方です。
施設側で急速冷凍の設備を持たずに、計画的な食事提供を行いやすくなると考えられます。
クックサーブから切り替えると入居者の満足度は下がりませんか?
料理や方式によって異なります。
切り替える前に試食会などで味や食感を確かめ、入居者の反応を見ながら段階的に進めることが大切です。
まとめ
クックサーブとは、加熱調理した料理を冷蔵や冷凍をせずに提供する調理方式です。
クックチル、ニュークックチル、クックフリーズは、冷却や冷凍を組み合わせて、調理と提供の時間を分ける方式です。
人員、食数、設備の条件を整理し、施設に合った方式を選ぶことが大切です。
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解凍や温めで提供できるため、調理方式の見直しを検討している高齢者施設におすすめです。
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参考文献
厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/content/000500653.pdf
滋賀県「食事提供体制加算を算定する際の具体的な取扱いについて(通知)」
https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5531803.pdf
済生会中央病院「当院の食事について」
https://www.saichu.jp/wp/wp-content/uploads/2019/06/hospitalization-meal.pdf
厚生労働科学研究成果データベース「特定給食施設の食事におけるクックフリーズによる揚げ物の栄養成分に関する研究」
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202009012A-buntan9.pdf
公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査結果の概要について」
https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/
和歌山県「HACCPに沿った衛生管理の制度化について」
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/031600/producer/haccp-institutionalization.html
クックデリ「介護施設・障がい者施設向け食事提供トータルサービス」
https://www.cookdeli.com/service/elderly/




