
人手不足に役立つ介護ロボット導入の検討
「職員の採用が難しく、今の人数で業務を回すのが限界に近い」「介護ロボットに興味はあるけれど、どれを選べばよいか、本当に効果があるのかわからない」と感じている経営者や施設長の方も、多いのではないでしょうか。
介護ロボットは、職員の負担を減らし、限られた人員でもケアの質を保つための手段として注目されています。
本記事では、介護ロボットの意味と種類、導入に使える補助金、生産性向上推進体制加算との関係を整理したうえで、生産性向上の進め方を解説します。
なお、制度に関する内容は、2026年10月時点で確認できる厚生労働省や自治体の資料をもとにしています。
実際の導入や加算の算定を行う際は、最新の告示・通知と所管の自治体の資料を必ず確認してください。
介護ロボットとは
介護ロボットの意味
介護ロボットとは、介護の現場で、職員の負担を減らしたり、入居者の自立を支援したりするために使われる、ロボット技術を活用した機器のことです。
一般に、センサーなどで情報を感知し、判断し、動作するという3つの要素を持つ機械システムがロボットとされています。
これを介護に活用したものを、介護ロボットと呼ぶことが多いと考えられます。
介護ロボットから「介護テクノロジー」へ
厚生労働省は、令和6年(2024年)6月に、それまでの「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂し、名称を「介護テクノロジー利用の重点分野」に変更しました。
ロボットだけでなく、ICTやIoTを使ったデータの活用など、より幅広い技術を介護に生かす考え方に広がっています。
介護ロボットの種類
介護テクノロジー利用の重点分野
厚生労働省によると、改訂後の重点分野は9分野16項目で構成され、令和7年(2025年)4月から運用が始まっています。
重点分野は平成24年(2012年)11月に策定され、平成26年、平成29年の改訂を経て、令和6年(2024年)に改訂されました。
主な機器の例
介護の現場で使われている機器には、たとえば次のようなものがあります。
- 見守り機器:ベッドのセンサーなどで入居者の状態を把握し、職員に知らせる
- 移乗支援機器:ベッドから車いすへの移乗などで、職員や入居者の体の負担を減らす
- 排泄支援機器:排泄のタイミングの予測などに活用する
- 入浴支援機器:入浴の動作を補助する
- 介護業務支援:記録や情報共有をデジタル化し、事務作業の負担を減らす
どの機器が合うかは、施設の課題や入居者の状態によって異なります。
令和6年(2024年)の改訂で加わった分野
令和6年(2024年)の改訂では、「機能訓練支援」「食事・栄養管理支援」「認知症生活支援・認知症ケア支援」の3分野が、新たに加わりました。
食事や栄養の管理も、テクノロジーで支援する対象として位置づけられたことになります。
介護ロボット導入のメリットと課題
導入のメリット
見守り機器を使えば、夜間の巡回の負担を減らしながら、入居者の状態の変化に早く気づける場合があります。
移乗支援機器は、職員の腰痛予防など、身体的な負担の軽減につながると考えられます。
職員の負担が減ることで働きやすい職場になり、採用や定着にもよい影響が期待できます。
導入の課題
一方で、機器の購入費用や維持費がかかることに加え、職員が使い方に慣れるまでに時間がかかる場合があります。
導入しただけで使われなくなってしまうこともあるため、目的をはっきりさせたうえで、運用の仕組みまで考えることが大切です。
介護ロボット導入に使える補助金・支援
都道府県や市町村の導入支援
介護ロボットやICTの導入については、都道府県などが国の基金を活用して、導入支援の事業を行っている場合があります。
また、千葉市のように、市町村が独自に介護テクノロジーの普及促進や導入支援に取り組んでいる例もあります。
対象となる機器や補助率、上限額、申請時期は自治体ごとに異なるため、所管の都道府県や市町村の情報を確認してください。
補助金を活用するときの注意点
補助金には申請期間や予算の上限があり、導入計画や効果の報告を求められる場合もあります。
購入の前に申請が必要なケースもあるため、導入を検討し始めた段階で、早めに要件を確認しておくことが大切です。
生産性向上推進体制加算との関係
加算の単位数
令和6年度(2024年度)の介護報酬改定では、生産性向上推進体制加算が新設されました。
単位数は(I)が100単位/月、(II)が10単位/月です。
対象は、施設系サービスや短期入所系サービス、居住系サービス、多機能系サービスとされています。
主な算定要件
(II)では、次のようなことが求められます。
- 入居者の安全や介護サービスの質の確保、職員の負担軽減について検討する委員会を開き、生産性向上のガイドラインにもとづく業務改善を続けること
- 見守り機器などのテクノロジーを1つ以上導入すること
- 業務改善の効果を示すデータを、一定期間ごとに提供すること
(I)では、これらに加えて、次のようなことが求められます。
- データによって業務改善の成果が確認されていること
- 見守り機器などのテクノロジーを複数導入していること
- 職員間の適切な役割分担に取り組んでいること
詳しい要件は、告示・通知で確認してください。
生産性向上の進め方
1.業務の現状を見える化する
まずは、職員がどの業務にどのくらい時間を使っているかを把握します。
夜間の巡回、記録、食事の準備や片付けなど、負担の大きい業務を洗い出すことが出発点です。
2.課題に合った機器や方法を選ぶ
洗い出した課題を、介護ロボットで解決できるもの、業務の手順の見直しで解決できるもの、外部のサービスで解決できるものに分けて考えます。
機器ありきではなく、課題に合った方法を選ぶことが大切です。
3.委員会で導入と運用を検討する
導入する機器や運用のルールを、職員の意見も聞きながら委員会で検討します。
現場の職員が納得して使える仕組みをつくることが、定着の鍵になると考えられます。
4.効果を測定し、改善を続ける
導入後は、業務時間や職員の負担、入居者の状態などの変化を記録し、効果を確認します。
効果が出ていない場合は、使い方や運用を見直し、改善を続けることが大切です。
ロボット以外の生産性向上:食事提供の見直し
生産性向上の取り組みは、介護ロボットの導入だけではありません。
重点分野に「食事・栄養管理支援」が加わったように、食事の提供にかかる業務も、見直しの対象として注目されています。
たとえば、完全調理済み冷凍食品を活用すると、施設での作業は温めと盛り付けが中心になり、調理にかかる人手や時間を抑えやすくなります。
厨房の負担を減らすことで、限られた人員を入居者のケアに回しやすくなると考えられます。
ただし、冷凍庫などの保管スペースが必要になることや、献立の自由度が下がる場合があることには注意が必要です。
導入前に試食をして、入居者に合う味や食形態かどうかを確認することをおすすめします。
よくある質問
Q.介護ロボットを導入すれば人員を減らせますか?
介護ロボットは、職員の負担を減らし、ケアの質を保つための手段です。
人員配置基準を満たす必要があるため、導入だけで人員を減らせるとは限りません。
生まれた時間を入居者へのケアや職員の休息に充てるなど、使い方を考えることが大切です。
Q.小規模な施設でも導入する意味はありますか?
小規模な施設でも、夜間の見守りや記録の負担軽減など、効果が期待できる場面はあると考えられます。
費用対効果を考え、補助金も活用しながら、優先度の高い課題から取り組むとよいでしょう。
まとめ
介護ロボットとは、介護の現場で、職員の負担軽減や入居者の自立支援のために使われる機器のことです。
令和6年(2024年)には、重点分野が「介護テクノロジー利用の重点分野」として、9分野16項目に改訂されました。
導入には自治体の補助金を活用できる場合があり、令和6年度(2024年度)に新設された生産性向上推進体制加算とも関係します。
生産性向上は、業務の見える化、課題に合った方法の選択、委員会での検討、効果の測定という流れで進めることが大切です。
ロボットだけでなく、食事提供にかかる業務の見直しも、生産性向上の選択肢のひとつです。
クックデリは、介護施設向けに完全調理済み冷凍食品を提供しています。
資料ダウンロードや無料試食会を通じて、導入後のイメージをぜひご確認ください。
参考文献
- 厚生労働省「介護サービス事業者の皆様へのお知らせ」(介護テクノロジー利用の重点分野、令和6年6月28日更新)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000209634_00013.html - 千葉市「介護テクノロジーの普及促進」
https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/koreishogai/kaigohokenkanri/robot.html - 令和6年度介護報酬改定 告示改正資料(生産性向上推進体制加算)
https://www.pt-ot-st.net/pdf/2024/r6kaigo/111.pdf





