
ユニットケアでの食事提供に課題を感じていませんか
「ユニットごとに盛り付けや配膳を行うため、介護職員の負担が大きい」「入居者のペースに合わせた食事を実現したいけれど、厨房との連携が難しい」と感じている施設長や厨房責任者の方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
ユニットケアは、入居者一人ひとりの生活を大切にするケアの考え方です。
その一方で、食事の提供方法にも工夫が求められます。
本記事では、ユニットケアの意味とユニット型施設の主な基準、従来型との違いを整理したうえで、ユニットでの食事提供の工夫を解説します。
なお、制度に関する内容は、2026年10月時点で確認できる厚生労働省の資料をもとにしています。
実際に運用する際は、最新の基準・通知と所管の自治体の資料を必ず確認してください。
ユニットケアとは
ユニットケアの意味
ユニットケアとは、施設の居室をいくつかの少人数のグループ(ユニット)に分け、ユニットごとに決まった職員が、入居者一人ひとりの生活に合わせてケアを行う方法です。
主に、特別養護老人ホームなどのユニット型施設で取り入れられています。
ユニットケアが目指すもの
厚生労働省の資料では、ユニットケアについて、入居者が互いに社会的な関係を築き、自律的な日常生活を送れるよう支援することが示されています。
なじみの職員や入居者との関係のなかで、自宅に近い環境で暮らせることが特徴です。
ユニット型施設の主な基準
1ユニットの入居定員
厚生労働省の介護給付費分科会の資料(令和2年12月9日)では、1ユニットの入居定員について、原則としておおむね10人以下とし、15人を超えないものとする見直しが示されました。
この見直しは、令和3年度(2021年度)の介護報酬改定で反映されています。
職員の配置
同じ資料では、昼間はユニットごとに常時1人以上の介護職員または看護職員を配置することが示されています。
また、ユニットリーダーは原則として常勤とされ、出産や育児などの場合には、非常勤での代替を認める考え方も示されています。
夜間の配置を含め、詳しい基準は最新の基準・通知で確認してください。
個室と共同生活室
ユニット型施設では、入居者の居室は個室を基本とし、ユニットごとに、食事や団らんに使う共同生活室が設けられています。
食事は共同生活室でとることが多く、ユニットが小さな家庭のような単位になります。
ユニット型と従来型の違い
居住環境の違い
従来型の施設は、多床室を中心に、大きな食堂や浴室を多くの入居者で共有する形が一般的です。
ユニット型は、個室と少人数の共同生活室を組み合わせ、生活の単位を小さくしている点が大きな違いです。
ケアの考え方の違い
従来型では、決まった時間に多くの入居者に同じケアを行う、集団的なケアになりやすい面があります。
ユニット型では、入居者一人ひとりの生活リズムや習慣を尊重した、個別のケアを重視します。
食事の場面の違い
従来型では、大きな食堂で、決まった時間に一斉に食事をとる形が多いと考えられます。
一方、厚生労働省の介護老人保健施設の運営基準に関する通知(平成12年老企第44号)では、ユニット型の施設について、次のような支援が示されています。
入居者が自分のペースで食事をとれるよう十分な時間を確保することや、入居者が自らの生活様式や生活習慣に沿って食事をとれるよう支援することです。
ユニットケアのメリットと課題
入居者にとってのメリット
少人数で、顔なじみの職員や入居者と過ごせるため、安心して生活しやすいと考えられます。
食事の場面でも、自分のペースで食べられることや、家庭に近い雰囲気を感じられることが、食事の楽しみにつながります。
運営上の課題
一方で、ユニットごとに職員を配置する必要があるため、人員の確保が課題になりやすい面があります。
食事についても、ユニットごとの盛り付けや配膳、片付けを介護職員が担う場合が多く、ケアの時間を圧迫しやすいと考えられます。
ユニットでの食事提供の工夫
1.入居者のペースに合わせた食事時間をつくる
食事の時間を一律に決めるのではなく、起床時間や体調に合わせて、ある程度の幅を持たせる工夫が考えられます。
ただし、衛生面から、調理後の食品は調理終了後から2時間以内に喫食することが望ましいとされています(大量調理施設衛生管理マニュアル)。
そのため、提供までの時間管理には注意が必要です。
2.ユニットでの盛り付けや炊飯で「食卓らしさ」を出す
ユニットでご飯を炊いたり、汁物を温めたりすると、においや音から食事の時間を感じやすくなります。
入居者ができる範囲で配膳や片付けに関わることも、役割や生きがいにつながる場合があります。
3.温度と衛生の管理を徹底する
ユニットでの盛り付けは、中央の厨房に比べて、温度管理や衛生管理が難しくなりやすい面があります。
手洗いや器具の管理、温かい料理と冷たい料理の温度を保つ方法など、ユニットごとに守るべきルールを決めておくことが大切です。
4.食形態の取り違えを防ぐ仕組みをつくる
ユニットごとに盛り付けを行う場合、食形態や禁止食の取り違えが起きないよう、食札の確認や食器の色分けなどの仕組みが欠かせません。
職員によって確認の手順がばらつかないよう、ユニット共通のチェック表を用意しておくと安心です。
5.介護職員の負担を増やしすぎない
ユニットでの食事提供を充実させるほど、介護職員の業務は増えやすくなります。
どこまでをユニットで行い、どこからを厨房が担うのかを整理し、ケアの時間を確保できる体制を考えることが大切です。
ユニットでの食事提供を支える選択肢
中央厨房で調理して配送する場合
中央厨房で調理した料理をユニットへ配送し、ユニットで盛り付ける方法は、多くのユニット型施設で取り入れられていると考えられます。
一方で、配送の時間によっては料理の温度が下がりやすいことや、厨房の調理員の確保が課題になることがあります。
完全調理済み食品をユニットで温めて提供する場合
完全調理済み冷凍食品を活用すると、ユニットでの作業は温めと盛り付けが中心になり、入居者の食事時間に合わせて、温かい料理を提供しやすくなります。
食形態ごとに調理された食品を使えば、ユニットでの作り分けの負担も抑えやすくなります。
ただし、ユニットごとに冷凍庫や温め機器が必要になる場合があることや、献立の自由度が下がる場合があることには注意が必要です。
導入前に試食をして、入居者に合う味や食形態かどうか、ユニットでの作業の流れに合うかどうかを確認することをおすすめします。
よくある質問
Q.ユニットごとに食事時間を変えてもよいですか?
ユニット型施設では、入居者が自分のペースで食事をとれるよう支援することが示されています。
そのため、入居者の生活リズムに合わせて、時間に幅を持たせる工夫は考えられます。
ただし、衛生管理や職員の配置との兼ね合いもあるため、施設のルールとして整理しておくことが大切です。
Q.ユニットで調理をしてもよいですか?
ユニットでの炊飯や汁物の調理、盛り付けを行っている施設もあると考えられます。
ただし、衛生管理の基準や設備の条件などを満たす必要があるため、所管の保健所や自治体に確認したうえで進めることをおすすめします。
まとめ
ユニットケアとは、居室を少人数のユニットに分け、なじみの職員が入居者一人ひとりの生活に合わせてケアを行う方法です。
1ユニットの入居定員は、原則おおむね10人以下とされています。
従来型との大きな違いは、集団的なケアではなく、入居者の生活リズムや習慣を尊重した個別のケアを重視する点にあります。
ユニットでの食事提供では、入居者のペースに合わせつつ、温度と衛生の管理、食形態の取り違え防止、介護職員の負担のバランスを考えることが大切です。
ユニットでの作業を温めと盛り付け中心にしたい施設は、完全調理済み食品の活用も選択肢のひとつです。
クックデリは、高齢者施設向けに完全調理済み冷凍食品を提供しています。
資料ダウンロードや無料試食会を通じて、実際の味や食形態をぜひご確認ください。
参考文献
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第196回、令和2年12月9日)資料2「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の報酬・基準について②」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000703101.pdf - 厚生労働省「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について」(平成12年老企第44号)
https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/09/dl/tp0907-1a01.pdf - 厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」(滋賀県 掲載資料)
https://www.pref.shiga.lg.jp/documents/33525/20260916192300.pdf





