
療養食加算の算定に不安を感じていませんか
「療養食を提供しているけれど、加算の要件をすべて満たしているか自信がない」「どの食事が対象になるのか、職員の間で認識がそろっていない」と感じている施設長や事務長、管理栄養士の方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
療養食加算は、病気のある入居者に治療のための食事を提供する取り組みを評価する、介護報酬の加算です。
本記事では、令和6年度(2024年度)改定後の療養食加算について、単位数と算定要件、対象となる食事の一覧、運営指導に備えたチェックポイントを解説します。
なお、制度に関する内容は、2026年10月時点で確認できる厚生労働省や自治体の資料をもとにしています。
この中には、2026年9月の社会保障審議会介護給付費分科会の資料の内容も含まれます。
実際に算定する際は、最新の告示・通知と所管の自治体の資料を必ず確認してください。
療養食加算とは
療養食加算の目的
療養食加算は、疾病治療の直接の手段として医師の食事箋にもとづいて提供される療養食を、管理栄養士または栄養士の管理のもとで提供した場合に算定できる加算です。
糖尿病や腎臓病などの入居者に対して、病状に合った食事を継続して提供する取り組みを評価する仕組みといえます。
令和6年度(2024年度)改定後の位置づけ
2026年9月の介護給付費分科会の資料では、令和6年度(2024年度)介護報酬改定の内容として示された項目に、療養食加算の見直しは含まれていません。
本記事では、改定後の現行の単位数と要件を整理しています。
次の改定に向けた議論の動向にも、注意しておくとよいでしょう。
療養食加算の算定状況
厚生労働省の資料によると、令和6年(2024年)6月以降の事業所ベースの算定率は、次のとおりとされています。
- 介護老人福祉施設:53.0%
- 地域密着型介護老人福祉施設:32.5%
- 介護老人保健施設:91.6%
- 介護医療院:83.5%
介護老人福祉施設や地域密着型介護老人福祉施設では、算定していない施設も少なくないことがわかります。
療養食加算の単位数
サービス別の単位数
- 施設系サービス(介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院):6単位/回
- 短期入所系サービス(短期入所生活介護、短期入所療養介護):8単位/回
いずれも、1日3回が限度です。
算定額のイメージ
施設系サービスで療養食を1日3食、30日間提供した場合、6単位×3回×30日=540単位となります。
1単位あたりの金額は地域区分によって異なります。
仮に1単位10円で計算すると、入居者1人あたり月5,400円程度です。
対象の入居者が多い施設では、施設全体として一定の収入になると考えられます。
療養食加算の算定要件
医師の食事箋にもとづく提供
療養食は、疾病治療の直接の手段として、医師が発行する食事箋にもとづいて提供されることが前提です。
管理栄養士または栄養士による管理
食事の提供が、管理栄養士または栄養士によって管理されている必要があります。
適切な栄養量と内容の食事
入居者の年齢や心身の状況に応じて、適切な栄養量と内容の食事を提供することが求められています。
療養食の献立表の作成
自治体の確認資料では、療養食の献立表を作成していることが、確認項目として挙げられています。
定員超過・人員基準欠如に該当しないこと
定員を超えて入居者を受け入れている場合や、人員基準を満たしていない場合は、算定できないとされています。
対象となる食事一覧
療養食加算の対象となる療養食
厚生労働省の資料では、厚生労働大臣が定める療養食として、次のものが挙げられています。
- 腎臓病食
- 肝臓病食
- 糖尿病食
- 胃潰瘍食
- 貧血食
- 膵臓病食
- 脂質異常症食
- 痛風食
- 嚥下困難者のための流動食
- 経管栄養のための濃厚流動食
- 特別な場合の検査食
また、香川県の資料では、心臓疾患などに対して減塩食療法を行う場合、食塩の総量が6.0g未満の減塩食については、腎臓病食に準じて取り扱うことができるとされています。
対象外となる主な食事
- 高血圧症に対する減塩食(香川県の資料で、加算の対象にならないとされています)
- 単なる流動食や軟食(厚生労働省の資料で、対象外とされています)
- 医師の食事箋がない食事
病名がついていても、提供している食事が療養食の基準を満たしていなければ、対象にならない点に注意が必要です。
ほかの加算との関係
厚生労働省の補助事業の報告書では、平成27年度(2015年度)の介護報酬改定で、経口維持加算と療養食加算をあわせて算定できるようになったことが紹介されています。
飲み込む力が低下し、かつ病気のための食事が必要な入居者については、両方の加算の要件を確認しておくとよいでしょう。
あわせて算定する場合の細かな要件は、告示・通知で確認してください。
算定までの流れと運営指導に備えたチェックリスト
算定までの流れ
1つ目に、医師が入居者の病状にもとづいて食事箋を発行します。
2つ目に、管理栄養士または栄養士が食事箋の内容に沿って療養食の献立を作成し、厨房に指示します。
3つ目に、療養食を提供し、食べた量や体調の変化を記録します。
4つ目に、病状や検査値の変化に応じて、医師と相談しながら食事箋や献立を見直します。
運営指導に備えたチェックリスト
- 入居者ごとの医師の食事箋がそろっているか
- 療養食の種類が、厚生労働大臣が定める療養食にあたっているか
- 療養食の献立表が作成されているか
- 減塩食の場合、対象となる疾患と食塩量の基準を満たしているか
- 提供した日と回数の記録が、請求内容と一致しているか
書類に不備があると、運営指導などで加算の返還を求められるおそれがあります。
定期的に確認しておくことが大切です。
療養食を安定して提供する体制づくり
療養食の種類が増えるほど、作り分けの手間が大きくなり、厨房の負担が重くなります。
完全調理済み冷凍食品を活用すると、施設での作業は温めと盛り付けが中心になり、作り分けの負担を抑えやすくなります。
ただし、療養食加算の算定には、医師の食事箋や管理栄養士などによる管理が必要なため、食品を導入するだけで算定できるわけではありません。
また、冷凍庫などの保管スペースが必要になることや、商品によって栄養量の調整の幅が異なることにも注意が必要です。
導入前に試食や栄養成分の確認を行い、施設の療養食の基準に合うかどうかを確認することをおすすめします。
よくある質問
Q.糖尿病の入居者全員に算定できますか?
糖尿病の診断があるだけでは、算定できません。
医師の食事箋にもとづいて糖尿病食を提供し、管理栄養士または栄養士が管理しているなど、要件をすべて満たしている場合に算定できます。
Q.短期入所(ショートステイ)でも算定できますか?
厚生労働省の資料では、短期入所生活介護と短期入所療養介護も、療養食加算の対象とされています。
単位数は、8単位/回(1日3回が限度)です。
まとめ
療養食加算とは、医師の食事箋にもとづく療養食を、管理栄養士または栄養士の管理のもとで提供した場合に算定できる加算です。
令和6年度(2024年度)改定後の単位数は、施設系サービスで6単位/回、短期入所系サービスで8単位/回で、いずれも1日3回が限度です。
対象は腎臓病食や糖尿病食など、厚生労働大臣が定める療養食に限られ、高血圧症のための減塩食や単なる流動食は対象外とされています。
療養食の作り分けで厨房の負担が大きいと感じている施設は、完全調理済み食品の活用も選択肢のひとつです。
クックデリは、高齢者施設向けに完全調理済み冷凍食品を提供しています。
資料ダウンロードや無料試食会を通じて、実際の味や食形態をぜひご確認ください。
参考文献
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(2026年9月3日)資料「口腔・栄養、一体的取組」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001744920.pdf - 香川県 掲載資料(介護報酬に関する留意事項)
https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/60221/4_shiryo3_hoshu.pdf
- 一般社団法人日本健康・栄養システム学会「介護保険施設における重点的な栄養ケア・マネジメントのあり方に関する調査研究事業 報告書」(厚生労働省 老人保健健康増進等事業)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/59_eiyousystem.pdf






