特別養護老人ホーム 赤煉瓦の郷 様
https://ichizenkai.com/pages/32/| 業態 | 特別養護老人ホーム |
|---|---|
| 法人名 | 社会福祉法人一善会 |
| 定員 | 特養70名(特養54名・ショートステイ16名)、地域密着特養20名、 デイサービス15名、ケアハウス15名 |
| 導入時期 | 2026年 4月 |
| 取材 | 施設長 橋本武也 様 |
【施設情報】
開設者の曽祖父が営んでいた煉瓦製造所の跡地に、1999年に開設。
2025年4月に橋本施設長が着任して以降、外国人人材の採用やICT導入などをすすめ職員の安定確保に奏功。
以降、満床および稼働率98%を維持している。
▲取材後も厨房業務に入る予定だという施設長の橋本武也様
この事例の3つのPoint
Point1.施設長がリーダーシップを発揮
Point2.直営厨房の立ち上げ時は能力の高い派遣スタッフを活用
Point3.かかってた委託費を改革の予算に変える
クックデリを導入いただいた背景を教えてください。
―給食委託費が経営を圧迫―
私は経営再建のミッションを託されて2025年4月に着任したのですが、まずは経費削減に着手しようとしたとき、経営を最も圧迫していたのが給食委託費であることがわかりました。ここにメスを入れなければ経営が改善しないことは明らかだったことと、加えて自分自身が検食していても質が良くない、率直に言って到底おいしいとは思えませんでした。この2点を解消するには直営化するしかないと、前職の職場で行っていた直営による厨房運営の経験をもとにメリット・デメリットを整理し、半年後、理事会で「コスト削減と食事満足度向上を目的とする直営化」の提案をしました。
現場は「本当にできるんですか?」という疑心暗鬼しかなかったと思います。しかしながら、施設が存続するにはそれしか選択肢はなかったのです。
そこからは直営化に向けて大忙しでした。同時に完調品メーカーの選定もはじめていたものの、組織が変わってプロポーザルの仕組みが厳格化されたことにより時間を要し、導入準備はかなり遅れることとなりました。
直営化のプロセスではどのようなことが大変でしたか。
ー段階的な人材確保として派遣スタッフを活用ー
やはり人員のやりくりです。給食委託会社からは、2026年3月に撤退すると1月時点で一方的に告げられました。そのまま当施設に残る委託スタッフはほぼいなかったため活用することにしたのが派遣スタッフです。
派遣スタッフの時給はパート職員の倍近くになるため、かなりの高単価な人材です。でもその分、派遣会社には厨房経験者や年齢などの採用条件を提示できますし、万が一働いてみて互いに合わなければ更新しなければ良いだけです。これが直接雇用だったらそう簡単にはいきませんから。ある程度、仕事に慣れて双方合意が得られれば、直接雇用に切り替えることもできます。その際に派遣会社に支払わなければならないコストは発生しても、段階的な人材確保のやり方としては有効と考えました。
そのうえで協力を募ったのが施設内の多職種です。看護師や介護士、事務職など各部門の役職者が手を挙げてくれました。直営に切り替わってからの2か月間、本業の合間に調理スタッフとして手伝ってもらうことにしました。これについては、彼ら専門職のほうがご利用者と距離が近いわけですから、かえって適切な食事提供のためのシステムやオペレーションづくりにつながりました。
厨房オペレーションの構築についてはいかがでしたか。
―業務の視覚化と共同作業がカギー
混乱の極みでした(笑)。当初の給食会社からの引継ぎは誰もやる職員がいなかったですし、コスト削減と食事満足度向上を宣言して直営化をすすめたのは私であるため、責任をもって1人で対応しました。
ある程度引き継いだ後、取りかかったのは作業の視覚化です。たとえば厨房業務において特に煩雑になるのが、食札通りに配膳車にトレーをセットする作業ですが、これを一人ひとりの食形態や禁食などを覚えたり、いちいち考える必要のないよう紙に書き出して配膳車に貼ることにしています。
また、分業化せずに全員がすべての作業をできるようにするというのも意識しました。得手不得手はもちろんありますが、ダブルチェックすれば良いだけですし、自分ができることだけやる仕事も楽しくないだろうというのが私の考え。そのためにも視覚化することで誰もが等しく、スタッフ一丸となって作業できるような仕組みにしました。
▲自作の主菜・副菜の盛り付け表
完調品メーカーの比較検討段階について教えてください。
―譲れなかった味の良さと価格ー
クックデリさんを含め、いずれも前年の秋にすでに目星をつけていて絞ったメーカー3社でプロポーザルを行ったのが2月頭でした。
正直なところ、直営化のフォロー体制といった観点から見れば、クックデリさんより手厚いところはあったのですが、やはり味と価格は譲れない部分でした。キュウリのシャキシャキとした歯ごたえ、ホクホクとしたカボチャのおいしさは、これまでに味わったことのないような質の高い食事になるだろうと確信しました。
導入成果を教えてください。
ー派遣スタッフの直接雇用と細かなコストの見直しー
コスト削減については、導入から3カ月しか経過していませんし、先ほどの派遣スタッフ等の人件費があるため、まだ明確には表れていません。しかし、派遣から直接雇用に切り替えられるスタッフの見込みもついており、これを実現すれば徐々にあらわれる算段です。
さらに自分自身が厨房業務を体験したことで、節水や洗浄まわりのコストカット可能な部分が見えてきました。洗剤メーカーを1社に統一して設備清掃も発注する引き換えに値下げ交渉をするといったことも、あわせて試みています。
食事満足度向上についてはいかがですか。
ー味と見た目の良さで食欲が増進ー
残食が減っていますし、食形態のレベルアップにつながったご利用者もいます。ショートステイのご利用者から、「こんなにおいしいカボチャは久しぶりに食べた」なんて言われることもありました。
オペレーションが安定してきたことで盛り付けの工夫も随時できるようになったのですが、最近私たちが気にして取り組んでいるのは、ちょっと見た目が悪くなりがちな魚料理や肉料理のきざみ食の型取りを行い、見た目良く盛り付けることです。新しい食器をクックデリさんから提供もいただけたので、よりこだわるようになりました。「ああでもない、こうでもない」と厨房スタッフみんなで意見を出し合って、まるで料理教室みたいな和気あいあいとした雰囲気でやれているのもありがたいですね。
私はそろそろ厨房業務を抜けて、本来業務に力を注ぎます。
▲動物型に型取ったキザミ食
▲厨房スタッフから誕生日をお祝いされる橋本施設長
完調品導入を考えている施設にメッセージをお願いします。
―それまでの委託費を予算に変えてチャレンジをー
直営化に二の足を踏む施設は多いかとは思います。しかし、直営化すれば値上げ交渉に悩まされることはもうないうえ、間違いなく経費削減にはつながる。自分たちの理想とする厨房運営ができるようになります。
仮に給食委託会社に年間5000万円を支払っていたとすると、1年目は5000万円使えるわけです。そう割り切って、まずは一年、トライしてみてはいかがでしょうか。
ありがとうございました。


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