
暑さで食欲が落ちたり、冷たい飲み物や食べ物を摂りすぎたりすることで体調を崩しやすい夏。
特にこの時期は冷房や気温差の影響で自律神経が乱れ、腸の働きにも影響が出やすくなります。そんな今こそ注目したいのが「腸活」です。
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、免疫力や代謝、さらには精神状態にも大きく影響を与えます。
今回は腸内環境を整えるためにおすすめの食べ物5選を紹介しながら、腸活のポイントや食事法についても解説していきます。
腸内環境とは?その重要性
腸内には約100兆個以上の腸内細菌が生息し、善玉菌・悪玉菌・日和見菌のバランスが健康に大きく関わっています。
このバランスが乱れると、腸の働きが低下し、便秘や下痢といった消化器系の不調にとどまらず、肌荒れや免疫力の低下など、全身にさまざまな不調が現れることがあります。
腸はまさに“健康の鏡”とも言える存在なのです。
1.発酵食品(納豆・味噌・キムチ・チーズなど)
発酵食品には乳酸菌や酪酸菌など、腸内環境を整える善玉菌がたっぷり含まれています。
納豆、味噌、キムチなどは日本人の食事に取り入れやすく、毎日の健康習慣におすすめです。
最近特に注目されているのが「酪酸菌」です。酪酸菌には腸内の悪玉菌の増殖を抑える働きがあり、乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌がすみやすい環境を整えてくれます。
さらに、酪酸は大腸のエネルギー源としても利用され、腸の働きを活性化させる効果もあります。
2.ビフィズス菌入りの食品(ヨーグルトなど)
ビフィズス菌は腸内にすむ代表的な善玉菌で、主に大腸に多く存在しています。このビフィズス菌は、ヨーグルトや乳酸菌飲料などから手軽に摂ることができます。
ただしビフィズス菌にはさまざまな種類があり、効果の出方には個人差があります。自分に合う菌を見つけるには、同じ製品を2〜3週間ほど続けて摂ってみるのがおすすめです。
お腹の調子や体調の変化を見ながら自分にぴったりの菌を見つけましょう。
3.水溶性食物繊維が豊富な野菜や海藻類
水溶性食物繊維は腸内細菌のエサとなり、善玉菌を元気にしてくれます。
大根、ごぼう、キャベツ、わかめ、昆布などが代表的で、腸内環境の改善や便秘対策にも効果的です。
4.不溶性食物繊維を含む食品(玄米・豆類・キノコ類など)
不溶性食物繊維は腸のぜん動運動を促し排便をスムーズにする効果があります。玄米やきのこ、豆類、さつまいもなどがおすすめです。水溶性食物繊維と一緒に摂ると、より効果的です。
5.オリゴ糖を含む食品(バナナ・玉ねぎ・大豆など)
オリゴ糖は善玉菌の大好物で、腸内環境を整えるサポート役です。
バナナ、玉ねぎ、大豆製品などに多く含まれており、甘味料として使えるオリゴ糖シロップも手軽に活用できます。
腸活を成功させるための生活習慣
腸内環境を整えるには、食事だけでなく生活習慣の改善も不可欠です。
食べ物で善玉菌を増やしても、腸内に悪影響を及ぼす生活スタイルが続けば効果は半減してしまいます。
ここでは腸活を成功させるために意識したい生活習慣を紹介します。
1.食生活の改善
加工食品や高脂肪・高糖質な食事を控え、朝食を抜かずにしっかりと摂ることで、胃腸のリズムを整えることが大切です。
2.適度な運動と睡眠
運動不足やストレスは腸の動きを鈍らせます。
軽いウォーキングやストレッチ、十分な睡眠も腸活には欠かせません。
3.定期的な検査と医師の相談
腸の不調が続く場合は、早めに内科や消化器科を受診し、必要に応じて内視鏡検査や胃カメラなどの精密検査を受けましょう。
まとめ:腸を整えると、私たちの生活が変わる
腸内環境の改善は、ただ「お腹の調子が良くなる」だけでなく、免疫力の向上や生活習慣病の予防、さらには精神的な安定にもつながります。
日々の食事や生活の中で意識するだけで大きな変化が期待できます。
ぜひ今回ご紹介したおすすめの食べ物を参考に、あなたも今日から腸活を始めてみませんか?
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【参考文献】
Chen J, Vitetta L. 病原細菌誘発性炎症亢進の緩和における酪酸の役割. Immune Netw. 2020年2月;20(2):e15. https://doi.org/10.4110/in.2020.20.e15
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