
施設での看取りにどう向き合うべきかお悩みではありませんか
「入居者や家族から、施設で最期を迎えたいという希望が増えている」「終末期の入居者の食事を、どのように支えればよいか迷う」と感じている施設長や看護職員、管理栄養士の方もいるのではないでしょうか。
ターミナルケアは、人生の最終段階にある入居者が、その人らしく穏やかに過ごせるよう支えるケアです。
本記事では、ターミナルケアの意味と、高齢者施設での取り組み方、終末期の食事支援のポイントを解説します。
なお、制度やガイドラインに関する内容は2026年10月時点で確認できる厚生労働省の資料をもとにしています。
医療的な判断については、必ず医師や看護職員などの専門職にご相談ください。
ターミナルケアとは
ターミナルケアの意味
ターミナルケアとは、病気や老衰などにより回復の見込みが難しいと判断された人に対して、苦痛をやわらげ、その人らしく最期まで過ごせるよう支えるケアのことです。
「終末期ケア」とも呼ばれ、身体的なケアだけでなく、精神的な支えや家族への支援も含まれると考えられています。
看取りケア・緩和ケアとの違い
看取りケアは、人生の最期の時期を迎えた人を見守り、生活を支えることに重点を置いた言葉として、介護の現場でよく使われます。
緩和ケアは、病気による苦痛をやわらげることを目的としたケアで、終末期に限らず、病気の早い段階から行われることもあります。
言葉の使い分けは場面によって異なりますが、いずれも本人の苦痛を減らし、その人らしい生活を支えるという点で共通しています。
高齢者施設でターミナルケアが求められる背景
住み慣れた場所で最期を迎えたいという希望
高齢者施設で長く暮らしてきた入居者のなかには、病院ではなく、なじみの職員や環境のなかで最期を迎えたいと望む人もいます。
こうした希望に応えるため、施設での看取りに取り組む高齢者施設も増えていると考えられます。
人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン
厚生労働省は、平成30年(2018年)3月に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を改訂しました。
このガイドラインは、本人と医療・ケアチームが話し合い、本人にとって最善の医療・ケアをつくり上げるための合意形成のプロセスを示したものです。
人生会議(ACP)の考え方
厚生労働省は、もしものときに備えて、本人が望む医療やケアについて前もって考え、家族などや医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取り組みを「人生会議」と呼んでいます。
これは、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称として定められたものです。
高齢者施設でも、入居者の意思を早い段階から確認し、状態の変化に合わせて話し合いを重ねることが大切です。
高齢者施設でのターミナルケアの取り組み
1.看取りに関する指針と体制を整える
施設として看取りにどのように取り組むかを指針として定め、入居時などに本人や家族へ説明しておくことが大切です。
夜間の連絡体制や、医師・看護職員との連携方法も、あらかじめ決めておく必要があります。
2.本人・家族の意思を確認し、繰り返し話し合う
本人がどのような最期を望んでいるか、どのような医療やケアを望むかを確認し、記録しておきます。
気持ちは時間とともに変わることもあるため、一度の確認で終わらせず、状態の変化に合わせて繰り返し話し合うことが大切です。
3.多職種で情報を共有する
医師、看護職員、介護職員、管理栄養士、生活相談員などの多職種で本人の状態や希望を共有し、ケアの方針をそろえます。
食事や水分のとり方、口腔ケア、苦痛のサインなど、日々の変化を記録し、全員が同じ情報をもとに関われるようにします。
4.職員への研修と心のケアを行う
看取りの経験が少ない職員にとって、終末期のケアは不安や負担を感じやすい場面です。
研修で知識を共有するとともに、看取りのあとに振り返りの場を設けるなど、職員の心のケアにも配慮することが大切です。
看取り介護加算との関係
特別養護老人ホームなどでは、看取りの体制を整え、医師が回復の見込みがないと判断した入居者に対して、本人や家族の同意のもとで看取りの介護を行った場合に、看取り介護加算を算定できる仕組みがあります。
厚生労働省の資料(2026年7月の介護給付費分科会資料)では、介護老人福祉施設の看取り介護加算(I)の単位数は、死亡日以前31日~45日が72単位/日、死亡日以前4日~30日が144単位/日、死亡日の前日と前々日が680単位/日、死亡日が1,280単位/日とされています。
算定要件の詳細は、告示・通知と所管の自治体の資料でご確認ください。
終末期の食事支援
終末期の食事で大切にしたいこと
終末期の食事は、栄養をとることだけでなく、本人が「おいしい」「うれしい」と感じられる時間をつくることも大切だと考えられています。
体の状態が変化するなかで、食べられる量や食べられるものは日々変わるため、本人の様子に合わせて柔軟に対応することが求められます。
本人の希望と好みを尊重する
好きだった料理や思い出のある味を少しでも口にできることが、本人や家族にとって大きな意味を持つ場合があります。
本人や家族から好みを聞き取り、可能な範囲で食事に取り入れることが大切です。
食べやすい食形態と量に調整する
飲み込む力が弱くなっている場合は、ゼリーやムース、とろみをつけたものなど、食べやすい食形態に調整します。
一度にたくさん食べられない場合は、少量ずつ、本人が食べたいときに提供できるよう工夫します。
食形態の判断は、医師や言語聴覚士、管理栄養士などと相談しながら行うことが大切です。
口腔ケアと水分への配慮
口の中の乾燥や汚れは不快感につながりやすいため、こまめな口腔ケアが大切です。
水分のとり方についても、医師や看護職員と相談しながら、本人が楽に過ごせる方法を考えます。
無理に食べさせない
終末期には、体が必要とする量が少なくなり、食べる量が自然に減っていくことがあるといわれています。
無理に食べさせることは、むせや誤嚥、本人の苦痛につながるおそれがあるため、本人の様子を見ながら判断することが大切です。
食事量が減ることに家族が不安を感じる場合は、医師や看護職員から状態を説明してもらうなど、家族の気持ちにも寄り添った対応が求められます。
家族と一緒に過ごす食事の時間
家族が食事の介助に関わったり、一緒にお茶を飲んだりする時間は、本人にとっても家族にとっても大切な思い出になります。
感染対策などに配慮しながら、家族が関われる機会をつくることも考えられます。
終末期の食事支援を支える厨房の体制
終末期の入居者には、少量で食べやすく、本人の好みに合った食事を、食べたいときに用意できる体制があると安心です。
一方で、通常の食事の調理に追われていると、個別の対応に手が回らないこともあります。
完全調理済み冷凍食品を活用すると、施設での作業は温めと盛り付けが中心となり、食形態に合った食事を必要な分だけ用意しやすくなります。
厨房の負担を減らすことで、管理栄養士や職員が本人や家族の希望を聞き取り、個別の対応を考える時間を確保しやすくなると考えられます。
ただし、冷凍庫などの保管スペースが必要になることや、献立の自由度が下がる場合があることには注意が必要です。
よくある質問
Q.終末期に食事量が減ったときはどうすればよいですか?
まずは医師や看護職員に状態を伝え、体の変化によるものか、ほかに原因があるのかを確認することが大切です。
そのうえで、本人の希望や苦痛の有無を見ながら、食形態や量、提供のタイミングを多職種で検討します。
Q.看取りの方針は誰が決めるのですか?
厚生労働省のガイドラインでは、本人の意思を尊重し、本人と医療・ケアチームが話し合いを重ねて方針を決めるプロセスが示されています。
本人が意思を伝えられない場合も、家族などと話し合いながら、本人にとって最善の方針を考えることが大切です。
まとめ
ターミナルケアとは、回復の見込みが難しいと判断された人に対して、苦痛をやわらげ、その人らしく最期まで過ごせるよう支えるケアのことです。
高齢者施設では、看取りの指針と体制を整え、人生会議(ACP)の考え方にもとづいて本人・家族と繰り返し話し合い、多職種で支えることが大切です。
終末期の食事支援では、本人の希望と好みを尊重し、食べやすい食形態と量に調整しながら、無理に食べさせないことが大切です。
一人ひとりに合わせた食事の対応に時間を割きたい施設は、完全調理済み食品の活用も選択肢のひとつです。
クックデリは、高齢者施設向けに完全調理済み冷凍食品を提供しています。
資料ダウンロードや無料試食会を通じて、実際の味や食形態をぜひご確認ください。
参考文献
- 厚生労働省「「人生会議」してみませんか」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02783.html - 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第260回、2026年7月9日)資料1
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001720275.pdf






