
介護食品の表示が多く、選び方に迷っていませんか
「市販の介護食品にさまざまなマークがあり、どれを見て選べばよいかわからない」「入居者や家族から介護食品について聞かれても、うまく説明できない」と感じている施設長や管理栄養士の方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
スマイルケア食は、介護食品を選びやすくするために国が整理した枠組みです。
本記事では、スマイルケア食の意味と青・黄・赤マークの違いを整理したうえで、高齢者施設での選び方と活用法を解説します。
なお、制度に関する内容は、2026年10月時点で確認できる農林水産省の資料をもとにしています。
スマイルケア食とは
スマイルケア食の意味と目的
スマイルケア食とは、農林水産省が整理した「新しい介護食品」の愛称です。
噛むことや飲み込むことが難しい人だけでなく、栄養補給が必要な人も含めて、食べる人の状態に合った食品を選びやすくすることを目指しています。
農林水産省は、介護食品の市場を広げることで食品産業や農林水産業を活性化し、国民の健康寿命の延伸にも役立てることを目的として示しています。
スマイルケア食が生まれた背景
これまで介護食品には、噛む力や飲み込む力が低下した人向けの食品というイメージが強くありました。
そのため、必要としている人に十分に届いていないという課題があったと考えられます。
そこで、食べる人の状態に応じて食品を選べるよう、平成28年(2016年)から青・黄・赤の識別マークの運用が始まりました。
青・黄・赤マークの意味
スマイルケア食は、食べる人の状態に応じて、次の3色のマークで分類されています。
青マーク:栄養補給が必要な人向け
噛むことや飲み込むことに問題はないものの、健康を維持するうえで栄養補給が必要な人に向けた食品です。
エネルギーやたんぱく質の量が基準を満たし、事業者が自ら基準への適合を宣言した食品に表示できます。
食が細くなった入居者の補食などに、活用しやすい区分といえます。
黄マーク:噛むことが難しい人向け
噛むことに問題がある人に向けた食品です。
「そしゃく配慮食品の日本農林規格(JAS)」に適合し、JASマークが表示された商品に限って表示できます。
やわらかさの程度によって数字で段階が分かれており、「容易にかめる」食品から「かまなくてよい」食品まで、噛む力に応じて選べるようになっています。
黄マークの商品には、専門職への相談を促す文言を表示することも求められています。
赤マーク:飲み込むことが難しい人向け
飲み込むことに問題がある人に向けた食品です。
消費者庁の特別用途食品のうち、「えん下困難者用食品」として許可を受けた商品に限って表示できます。
赤マークも数字で段階が分かれており、飲み込む力の状態に応じて選ぶ必要があります。
ユニバーサルデザインフード・嚥下調整食分類2021との関係
介護食品には、スマイルケア食のほかにも、日本介護食品協議会のユニバーサルデザインフードや、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類2021といった分類があります。
それぞれの位置づけは、次のように異なります。
- ユニバーサルデザインフード:業界団体の自主規格
- 嚥下調整食分類2021:主に医療や介護の現場で使われる学会の分類
- スマイルケア食:国が整理した選び方の枠組み
施設で使うときは、これらの分類と施設の食形態との対応を整理しておくと、職員や病院との情報共有がしやすくなります。
スマイルケア食の選び方
早見表のチャートの流れ
農林水産省の「スマイルケア食(新しい介護食品)早見表」では、次のような質問に順に答えることで、合った食品の種類がわかるようになっています。
- 最近、食べる量が少なくなった、または体重が減ったか
- 噛むことに問題があるか
- 飲み込むことに問題があるか
答えに応じて、青マークの食品、黄マークの食品、赤マークの食品のいずれかに進み、さらに状態に合った段階を選ぶ流れです。
専門職に相談することが前提
早見表では、医師などの指導に従って選ぶことや、必要に応じて専門職に相談することが推奨されています。
特に飲み込む力が低下している場合は、誤った選び方が誤嚥や窒息につながるおそれがあります。
自己判断で選ばないことが大切です。
高齢者施設での活用法
1.食欲が落ちた入居者の栄養補給に活用する
食べる量が減った入居者には、青マークの食品を間食や補食として取り入れる方法が考えられます。
少ない量でエネルギーやたんぱく質をとれる食品を選ぶことで、栄養状態の維持に役立つと考えられます。
取り入れる際は、管理栄養士が1日の栄養量を確認しながら調整することが大切です。
2.施設の食形態とマークを対応させる
施設のソフト食やミキサー食などが、黄マークや赤マークのどの段階に近いのかを整理しておくと、市販品を取り入れるときに選びやすくなります。
対応表を嚥下調整食分類2021のコードとあわせて作成すると、病院との情報共有にも役立ちます。
3.職員や家族への説明に活用する
スマイルケア食の3色のマークは直感的にわかりやすいため、介護職員や家族に食形態の考え方を説明するときの材料としても活用できます。
たとえば、家族が差し入れを持参する際に、入居者に合ったマークの食品を選んでもらうよう案内する方法も考えられます。
高齢者施設での食事の調達方法の比較
施設内で調理する場合
入居者一人ひとりに合わせて、細かく調整しやすい点がメリットです。
一方で、食形態ごとの作り分けには手間がかかり、仕上がりにばらつきが出やすい点がデメリットと考えられます。
市販のスマイルケア食を活用する場合
マークを目安に選べるため、状態に合った食品をそろえやすい点がメリットです。
一方で、1食あたりの費用が高くなりやすいことや、毎日の献立をすべてまかなうのは難しい場合があることには注意が必要です。
完全調理済み食品を活用する場合
高齢者施設向けの完全調理済み冷凍食品を活用すると、施設での作業は温めと盛り付けが中心になり、毎日の献立として、食形態に合った食事を用意しやすくなります。
ただし、冷凍庫などの保管スペースが必要になることや、献立の自由度が下がる場合があることには注意が必要です。
導入前に試食をして、入居者に合う味や食形態かどうかを確認することをおすすめします。
よくある質問
Q.スマイルケア食とユニバーサルデザインフードはどちらを見ればよいですか?
どちらも、食べる人の状態に合った食品を選ぶための目安です。
商品によって表示されているマークは異なります。
施設の食形態と両方の分類の対応を整理しておくと、どちらの表示の商品でも選びやすくなります。
Q.赤マークの食品は自由に選んでよいですか?
赤マークの食品は、飲み込むことが難しい人に向けた食品です。
飲み込む力の状態によって合う段階が異なるため、医師や言語聴覚士、管理栄養士などの評価にもとづいて選ぶことが大切です。
まとめ
スマイルケア食とは、農林水産省が整理した新しい介護食品の枠組みです。
栄養補給が必要な人向けの青マーク、噛むことが難しい人向けの黄マーク、飲み込むことが難しい人向けの赤マークに分かれています。
高齢者施設では、施設の食形態との対応を整理し、専門職の評価にもとづいて選ぶことで、市販品をうまく取り入れやすくなります。
毎日の食事として、食形態に合った食事を安定して用意したい施設は、完全調理済み食品の活用も選択肢のひとつです。
クックデリは、高齢者施設向けに完全調理済み冷凍食品を提供しています。
資料ダウンロードや無料試食会を通じて、実際の味や食形態をぜひご確認ください。
参考文献
- 農林水産省「スマイルケア食(新しい介護食品)」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/seizo/kaigo.html - 農林水産省「令和5年度食育白書」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/r5/r5_h/book/part2/chap3/b2_c3_2_05.html - 農林水産省「スマイルケア食(新しい介護食品)早見表」(東京都保健医療局 掲載資料)
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/9_14





