
食事量が減った入居者の栄養補給でお悩みではありませんか
「食事量が減った入居者に濃厚流動食をすすめられたけれど、どう使えばよいかわからない」「濃厚流動食と普通の流動食の違いを、職員に説明できない」と感じている施設長や管理栄養士、看護職員の方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
濃厚流動食は、少ない量で効率よく栄養をとれる食品として、高齢者施設や病院で広く使われています。
本記事では、濃厚流動食の意味と流動食との違い、種類を整理したうえで、高齢者の栄養補給での使い方と注意点を解説します。
なお、制度に関する内容は、2026年10月時点で確認できる厚生労働省などの資料をもとにしています。
濃厚流動食とは
濃厚流動食の意味と特徴
濃厚流動食とは、少ない量で多くのエネルギーや栄養素をとれるように調整された、液体状の栄養食品のことです。
公益財団法人長寿科学振興財団の健康長寿ネットでは、1mlあたり1kcal以上のものが多く、1パックで200~400kcal程度をとれる高栄養の流動食として紹介されています。
たんぱく質やビタミン、ミネラルなども含まれており、口から飲むほか、経管栄養にも用いられます。
流動食との違い
流動食は、重湯や野菜スープ、牛乳など、固形物を取り除いた液体状の食事全般を指す言葉です。
同じ健康長寿ネットでは、重湯などの普通流動食は1日3食で500~800kcal程度にとどまり、栄養が不足しやすいとされています。
濃厚流動食は、こうした流動食のなかでも、少量で栄養を補えるよう栄養密度を高めたものといえます。
濃厚流動食の種類
医薬品と食品の違い
濃厚流動食(経腸栄養剤)には、医薬品として扱われるものと、食品として扱われるものがあります。
東北大学病院の薬剤部が発行した資料では、両者の違いが次のように整理されています。
- 医薬品:薬機法にもとづいて管理され、処方箋が必要で、保険が適用される
- 食品:食品衛生法にもとづき、処方箋は不要だが保険は適用されず、外来や在宅では全額自己負担となる
高齢者施設で使う場合も、どちらの扱いの製品かによって入手方法や費用の負担が異なるため、確認しておくことが大切です。
成分による分類
経腸栄養剤は、たんぱく質の形などによって、「半消化態栄養剤」「消化態栄養剤」「成分栄養剤」などに分けられます。
消化する力が弱い人向けのものなど、目的によって使い分けられています。
どれを選ぶかは、医師や管理栄養士が判断します。
疾患に配慮したタイプ
健康長寿ネットでは、疾患に合わせて成分を調整した流動食も紹介されています。
たとえば、腎臓病向けの低たんぱくのもの、膵炎向けの低脂肪のもの、循環器疾患向けのナトリウムを制限したものなどです。
濃厚流動食の主な使い方
口から飲んで栄養を補う
食事の量が減った入居者が、食事やおやつの時間に少量ずつ飲むことで、不足しているエネルギーやたんぱく質を補う使い方です。
ゼリー状の製品や、とろみをつけやすい製品もあります。
経管栄養として使う
口から十分に食べられない人に対して、鼻から胃に通したチューブや胃ろうなどから注入する使い方です。
経管栄養は医療的な管理が必要なため、医師の指示にもとづいて行われます。
高齢者の栄養補給で使うときのポイント
1.使う目的と量を多職種で決める
濃厚流動食を使うときは、なにを補うために、どのくらいの量を使うのかを、医師や管理栄養士、看護職員などで決めておくことが大切です。
自己判断で量を増やしたり減らしたりしないよう、職員間で情報を共有します。
2.飲み込む力に合わせてとろみを調整する
液体状の濃厚流動食は、飲み込む力が弱い入居者では、むせや誤嚥の原因になるおそれがあります。
必要に応じてとろみ調整食品を使ったり、ゼリー状の製品を選んだりします。
健康長寿ネットでも、誤嚥対策として、必要に応じてとろみ剤を使うことが紹介されています。
3.飲みやすい工夫で続けやすくする
同じ味が続くと飽きてしまい、飲む量が減ることがあります。
味の種類を変える、冷やして提供する、少量ずつ複数回に分けるなど、本人が続けやすい工夫を取り入れます。
4.開封後の扱いと衛生に注意する
健康長寿ネットでは、濃厚流動食は開封したら飲みきることが、注意点として挙げられています。
開封後に残したものを長時間置かないなど、衛生管理を徹底することが大切です。
5.効果を記録して見直す
濃厚流動食を取り入れたあとは、飲んだ量や体重、食事の喫食率の変化を記録し、効果を確認します。
状態が改善した場合は、食事からの栄養摂取に戻していくことも検討します。
濃厚流動食と介護報酬の関係
厚生労働省の資料では、療養食加算の対象となる療養食に「経管栄養のための濃厚流動食」が含まれています。
この内容は、2026年9月時点の社会保障審議会介護給付費分科会の資料で確認したものです。
一方で、単なる流動食は対象外とされています。
算定には医師の食事箋などの要件があるため、詳しくは告示・通知と所管の自治体の資料で確認してください。
濃厚流動食だけに頼らない栄養管理
濃厚流動食は便利な一方で、食事の楽しみを補うものではありません。
口から食べられる入居者には、食形態に合った食事をおいしく食べてもらい、足りない分を濃厚流動食で補うという考え方が大切です。
完全調理済み冷凍食品を活用すると、施設での作業は温めと盛り付けが中心になり、食形態に合った食事を安定して用意しやすくなります。
ただし、冷凍庫などの保管スペースが必要になることや、献立の自由度が下がる場合があることには注意が必要です。
導入前に試食をして、入居者に合う味や食形態かどうかを確認することをおすすめします。
よくある質問
Q.濃厚流動食は食事の代わりになりますか?
経管栄養など、濃厚流動食で必要な栄養のほとんどをとる場合もあります。
ただし、口から食べられる入居者にとっては、食事の楽しみや噛む機会を保つことも大切です。
食事の代わりにするかどうかは、医師や管理栄養士などの判断にもとづいて決めます。
Q.濃厚流動食の費用は誰が負担しますか?
医薬品として処方されるものと、食品として購入するものとで、費用の扱いが異なります。
施設の種類や入居者の状況によっても扱いが変わる場合があるため、施設の方針として整理し、入居者や家族に説明しておくと安心です。
まとめ
濃厚流動食とは、少ない量で多くのエネルギーや栄養素をとれるように調整された、液体状の栄養食品です。
重湯などの普通の流動食に比べて、栄養密度が高い点が特徴です。
医薬品と食品の2種類があり、口から飲む使い方と、経管栄養としての使い方があります。
使うときは、目的と量を多職種で決め、とろみや衛生に注意し、効果を記録しながら見直すことが大切です。
濃厚流動食とあわせて、食形態に合った食事を安定して提供したい施設は、完全調理済み食品の活用も選択肢のひとつです。
クックデリは、高齢者施設向けに完全調理済み冷凍食品を提供しています。
資料ダウンロードや無料試食会を通じて、実際の味や食形態をぜひご確認ください。
参考文献
- 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「流動食の作り方のポイント・おすすめレシピ」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/hint-ryudoshoku.html - 東北大学病院 薬剤部「NST 栄養ひろば No.52」(2022年5月)
https://www.hosp.tohoku.ac.jp/wp-content/uploads/2022/07/nst_hiroba52.pdf - 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 資料「口腔・栄養、一体的取組」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001744920.pdf






