【取材記事】介護現場の誰もが実践できる
ご利用者の命と施設を守る口腔ケアを推進
~株式会社クロスケアデンタル~

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【取材記事】介護現場の誰もが実践できる<br>ご利用者の命と施設を守る口腔ケアを推進<br>~株式会社クロスケアデンタル~
「いつまでも食べられるお口づくり」をめざし、
熱いプロジェクトをけん引する瀧内歯科医師。
適切で効果的な口腔ケアについて、お話しをお聞きしました。

Profile

瀧内博也さん
株式会社クロスデンタル Co-Founder/CEO
歯科医師、博士(歯学)、医療法人クロスケア理事長

2009年、九州大学歯学部を卒業。2014年、福岡歯科大学高齢者歯科医員、2015年、同大学高齢者歯科助教。2018年に株式会社クロスケアデンタルを創業。〝介護の歯科医師〟としてYouTubeでも口腔ケアや食支援の大切さを訴える。

提唱する「ゼロプロ式口腔ケア」について教えてください。

「ゼロプロ」とは「誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト」の略称で、介護現場に正しい口腔ケアをお伝えし、誤嚥性肺炎の発症ゼロをめざす取り組みのことを指します。これは、統一した手技で適切なブラッシングとリハビリを週2回、たった5~10分間程度、行うことで成果が期待できるものです。しかも歯科の専門職でなくとも、介護職をはじめ多職種が実践できる技術です。

誤嚥性肺炎は、主に口腔内の唾液や細菌、食べかすなどが誤って気管に入ったり、加齢による飲みこみ力の低下や唾液の分泌量の減少といった原因から起こるものです。高齢者の死亡原因の上位に挙げられる肺炎のなかでも、7割以上が誤嚥性肺炎によるものとされています。

あわせて、誤嚥性肺炎によってご利用者が入院することで、施設収入が下がるため経営的損失も少なくありません。医療費削減の観点からみても、入院はできる限り避けたいところです。

ご利用者の命を守るとともに、施設の存続につながる大きなカギを握るのが口腔ケアであると考え、推進しています。

 

ゼロプロの仕組みについて教えてください。

口腔ケアの主な手順としては、うがいをしてからスポンジで大きな汚れ、歯ブラシで細かい汚れを取り除いた後、舌の清掃とマッサージを行い、続けて歯茎や頬、口唇も同様にマッサージをします。器具を多数そろえる必要はなく、厳選したものをご利用者ごとに効果的に使えるのが望ましいです。

歯科衛生士らから介護者への技術指導を中心に、習得レベルに応じてオンラインセミナーなども開催し、学びを深める取り組みも行っています。独自の口腔ケア試験も開催することで一定レベルの知識と技術を備えた人材を施設内で養成し、最終的に自走できる体制を構築します。


▲ゼロプロのなかですすめている口腔ケアの手順

成果はいかがでしょうか。

特別養護老人ホーム若葉苑様(大分県)では、ゼロプロの導入によって下図のように従来型・ユニット型ともに肺炎による入院日数を大幅に短縮させることができました。特別養護老人ホームマナハウス様(福岡県)様では、肺炎による入院日数を64%短縮させることができたのですが、思いのほか肺炎以外の入院件数減少にもつながり、年間1,107万円のコスト改善を実現しました。これは、お口の機能が改善することによって食事摂取量の増加や食形態が引きあがり、免疫力や体力が向上したことによる副次的な効果と言えると思います。


▲介護職が行った口腔ケアで誤嚥性肺炎が減少した大分の特別養護老人ホーム


介護現場では、歯科衛生士などの専門職の配置をしている施設は少ないため、口腔ケアの器具や方法が統一されていなかったり、先輩職員から何となく引き継いだやり方を継続しているケースが多く見受けられます。ご利用者が自分自身で磨くことができないから〝代わりに磨く〟くらいの感覚の職員さんもいらっしゃるかもしれません。

でも口腔ケアは正しく取り組めば、このように介護職員さんほか多職種でご利用者の命を守れるものだということが証明されています。

 

食支援にも取り組まれているそうですね。

ご利用者の命に加え、食も守ることも第2のミッションに掲げています。

残念ながら、誤嚥性肺炎は口腔ケアを行うことで減少はしても、すべての施設で必ずゼロにできるとは言い切れないのが実情です。そこで次に重視しているのが、食支援のあり方です。当社には言語聴覚士もいるため、適切な食事形態の選び方や食事介助方法などもあわせてアドバイスをしています。

抱負を教えてください。

もともと大学病院で外来診療をしていたのですが、高齢歯科担当として併設する介護施設に出入りするようになった際、はじめて誤嚥性肺炎が施設の大きな課題になっていることを知りました。

「介護の力になりたい」という私たちの思いに、「ご利用者のためになるなら」と協力いただいた第1号の施設は、いまでは介護スタッフの皆さんが自信を持って口腔ケアに取り組んでおり、海外から視察されるほど注目を集めています。

他方で、歯科医として思うのは、訪問歯科などの歯科領域と介護との連携にはまだまだ大きな溝があるということ。介護現場に寄り添う医療スタッフを増やしていくことを使命に、取り組んでいきたいと考えています。

 

――ありがとうございました。


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