排泄支援加算とは?算定要件から記録方法、成功事例まで徹底解説

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排泄支援加算とは?算定要件から記録方法、成功事例まで徹底解説

介護施設における「排泄支援加算」は、単に施設の収益を増やすための制度ではありません。利用者の皆さま一人ひとりの尊厳を守り、より自分らしい生活を送るための生活の質(QOL)向上を真摯に目指す、極めて重要な取り組みです。

排泄の自立は、多くの利用者にとって自信と意欲を取り戻し、活動的な日常を取り戻すための大きな一歩となります。

この記事では、2024年度(令和6年度)の介護報酬改定でさらに注目を集める排泄支援加算について、サービス管理責任者の皆さまが把握しておくべき情報を網羅的に解説します。正確な算定要件、日々のケアにおける具体的な進め方、煩雑になりがちな記録業務を効率化するコツ、そして実際に加算取得に成功した他施設の具体的な事例まで、必要な知識を深く掘り下げてご紹介します。

本記事を読み終える頃には、排泄支援加算が利用者のQOL向上と施設の運営改善にどのように貢献するかを明確に理解し、ご自身の施設で具体的な取り組みを始めるためのロードマップが見えてくるでしょう。


排泄支援加算とは|利用者のQOL向上と施設の収益改善を目指す加算

排泄支援加算とは、要介護高齢者の排泄自立に向けた計画的な支援を評価する介護報酬の加算制度です。この制度は、単に施設の収益を増やすだけでなく、利用者のQOL(生活の質)向上に貢献することを本来の目的としています。

排泄は人間の基本的な生理機能であり、その自立は個人の尊厳や自律性を保つ上で極めて重要です。自立排泄を支援することで、おむつからの解放、肌トラブルの軽減、活動範囲の拡大など、利用者の生活の質は飛躍的に向上します。

介護現場のサービス管理責任者の皆様にとって、排泄支援加算への取り組みは「ケアの質向上」と「経営改善」という二つの側面から戦略的な選択肢となります。適切な支援計画に基づいた個別ケアを実践することで、利用者の満足度を高め、施設の評判向上に繋がります。さらに、加算の算定によって得られる収益は、スタッフの教育研修や、排泄支援に役立つ福祉用具・ICT機器の導入費用に充てることも可能です。

排泄支援加算の目的と重要性

まず利用者視点では、排泄の自立は個人の尊厳や自尊心を保ち、「他者に迷惑をかけたくない」という心理的な負担を軽減することに直結します。おむつから解放されることで外出や趣味活動への意欲が高まり、心身機能の維持、ひいてはQOLの大幅な改善に寄与します。

次に、施設・事業者視点から見ると、排泄支援加算は適切なケア提供が正当に評価される仕組みです。加算取得に向けたプロセスは、スタッフが専門知識や技術を習得する機会となり、専門性の向上やモチベーションアップに繋がります。

排泄支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の違いと単位数

排泄支援加算には(Ⅰ)、(Ⅱ)、(Ⅲ)の3つの区分があり、算定要件と単位数が異なります。

  • 排泄支援加算(Ⅰ):10単位/月
    排泄の自立に向けた基本的な支援計画の策定と実施を評価します。医師または医師と連携した看護師によるアセスメントに基づき、多職種共同で個別の排泄支援計画を作成し、定期的に評価・見直しを行うことが求められます。状態の改善の有無は問われません。
  • 排泄支援加算(Ⅱ):15単位/月
    加算(Ⅰ)の要件を全て満たした上で、利用者の排尿または排便の状態が、アセスメント時と比較して改善している場合に算定できます。
  • 排泄支援加算(Ⅲ):20単位/月
    加算(Ⅰ)の要件を全て満たした上で、アセスメント時におむつを使用していた利用者が「おむつを使用しない状態」に改善し、かつ排尿または排便の状態も改善している場合に算定可能です。

対象となる介護サービス

排泄支援加算を算定できるのは、主に以下の長期入所型施設・サービスです。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院
  • 看護小規模多機能型居宅介護

【2024年度改定対応】排泄支援加算の主な変更点を解説

2024年度(令和6年度)の介護報酬改定では、現場の業務負担軽減と、より質の高い自立支援の評価を目的とした変更が行われました。

評価項目に「尿道カテーテルの抜去」が追加

今回の改定で特筆すべき点は、評価項目に**「尿道カテーテルの抜去」**が追加されたことです。これまで医療依存度の高いカテーテル利用者は加算評価の対象になりにくい側面がありましたが、医師や看護師による詳細なアセスメントを経て、多職種連携で抜去に向けた支援を行うことが正当に評価されるようになりました。

評価頻度とLIFEへの情報提出頻度の見直し

事務的な運用面でも大きな見直しがありました。

  • 評価頻度の変更:支援計画の見直しのための評価頻度が「少なくとも6ヶ月に1回」から「少なくとも3ヶ月に1回」へ短縮されました。
  • 情報提出頻度の統一:LIFE(科学的介護情報システム)への情報提出頻度が、他のLIFE関連加算と足並みを揃え、「少なくとも3ヶ月に1回」に統一されました。

排泄支援加算の算定要件と具体的な算定フロー

対象となる利用者の条件

「排尿または排便に関して、全介助または一部介助が必要な方」が対象です。具体的にはトイレへの移動、移乗、衣服の着脱、後始末などに手助けを要する方が含まれます。

【チャートで解説】加算算定までの4ステップ

  1. ステップ1:医師・看護師等によるアセスメント(評価)
    厚生労働省の「排せつの状態に関するスクリーニング・支援計画書」を活用し、排泄パターン、失禁の有無、意欲などを把握します。
  2. ステップ2:多職種連携による支援計画の作成
    医師、看護師、介護職などが連携し、具体的な目標と役割分担を策定。同意を得ることが必須です。
  3. ステップ3:支援計画に基づいたケアの実施と記録
    現場スタッフ全員が計画を共有し、一貫したケアを実施。排泄の時間、量、形状などを正確に記録します。
  4. ステップ4:3ヶ月ごとの評価・計画見直しとLIFEへの情報提出
    目標の達成度を確認し、必要に応じて計画を修正。同時に評価結果をLIFEへ提出します。

現場で役立つ!排泄支援の記録方法と成功のポイント

記録のポイントと支援計画書の記入例

正確な記録は加算算定の「証拠」であり、ケア改善の「財源」です。スクリーニング項目では「改善の見通し」の根拠を具体的に記載しましょう。計画項目では「誰が、いつ、何を」行うかを明確にします。

自立排泄を促すケアの具体例

  • トイレ誘導と環境整備:排泄日誌でリズムを把握し、食後などのタイミングで誘導します。
  • リハビリパンツやパッドの適切な活用:これらを「自立を支えるツール」と捉え直し、活動意欲を高めます。
  • 排泄リハケア体操:筋力や腹圧を養う体操を日々のレクリエーションに取り入れます。

【成功事例】QOL向上と業務効率化を両立した施設の取り組み

事例1:ICT活用で記録負担を軽減

ある施設ではベッド設置型「排泄センサー」を導入。排泄タイミングをリアルタイムで把握することで空振りの巡回を減らし、必要な時にだけケアを行う体制を構築しました。生まれた時間を個別ケアに充てた結果、自立排泄を達成する利用者が増加しました。

事例2:排泄ケア委員会の立ち上げによる意識改革

特養A施設では多職種による「排泄ケア委員会」を設置。月1回の勉強会で専門知識を共有し、施設全体の共通認識を醸成しました。チームケアの強化により、排泄に関する悩みが早期共有されるようになり、加算の安定算定だけでなく、スタッフの離職率低下という副次的効果も得られました。


排泄支援加算に関するよくある質問(Q&A)

Q. 全入所者を対象に算定できますか?
A. いいえ。支援が必要な利用者「ごと」に算定します。個別の計画と実施が必須です。
Q. 「排泄状態の改善」はどう判断しますか?
A. トイレ移動や着脱など、一連の動作の介助量が軽減された場合に客観的な指標に基づき判断します。
Q. 「念のためのおむつ使用」は?
A. 原則として、日中にパッド類を使用していなければ「おむつ使用なし」と評価できますが、最終的な解釈は自治体に確認してください。

まとめ:排泄支援加算の算定で利用者と施設の双方にメリットを

排泄支援加算への取り組みは、施設の収益向上だけでなく、介護の本来の目的である「尊厳の保持」と「QOL向上」に直結します。自立排泄の達成は利用者に自信をもたらし、スタッフには専門職としてのやりがいを与えます。また、業務効率化や皮膚トラブルの減少など、施設運営における好循環を生み出します。ぜひ貴施設でも積極的な排泄支援にチャレンジしてください。

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