
居宅介護支援事業所のケアマネジャーの皆さま、医療機関の事務担当者の皆さま、日々の業務お疲れ様です。多忙な業務の合間を縫って、介護報酬改定に関する情報収集に励んでいらっしゃる方も多いことでしょう。
昨今、医療と介護の連携強化が強く叫ばれる中、その中核を担う報酬として注目を集めているのが「通院時情報連携加算」です。
この加算は、ケアマネジャーが利用者の通院に同行し、医師や歯科医師といった医療専門職と直接連携することで、利用者の心身の状態や生活実態に即した、より質の高いケアプラン作成を目指すものです。2024年度(令和6年度)の介護報酬改定では、算定率向上のために要件が緩和・拡充され、以前にも増して事業所にとって重要な加算となりました。
本記事では、この通院時情報連携加算の制度概要から具体的な算定要件、そして2024年度改定による変更点までを網羅的に解説します。この記事を通じて、算定に向けた具体的な手順や注意点を深くご理解いただき、日々の実務に役立てていただければ幸いです。
通院時情報連携加算とは?医療と介護のスムーズな連携を目指す制度
通院時情報連携加算は、2021年度の介護報酬改定で新設された居宅介護支援費の加算です。この加算は、ケアマネジャーが利用者の通院に同行し、主治医などの医師等と直接情報連携を行うことを評価する仕組みとして導入されました。その背景には、国が長年推進してきた「医療と介護の連携強化」という大きな目標があります。
高齢化が進む現代において、多くの利用者は複数の疾患を抱え、医療と介護の両方を必要とするケースが増えています。ケアマネジャーが医療現場に直接赴き、医師等と顔を合わせて情報交換することで、より多角的かつ深い情報を得られるようにすることが本加算の狙いです。ケアマネジャーは利用者の「今」と「これから」をより正確に理解し、一人ひとりのニーズに合致した、きめ細やかなケアプランを作成できるようになります。
【2024年度改定対応】通院時情報連携加算の算定要件と単位数
通院時情報連携加算を算定するための具体的なルールについて、その単位数、遵守すべき要件、そして2024年度の介護報酬改定で何が変わったのかを詳しく解説します。
算定単位数
通院時情報連携加算の単位数は、利用者1人につき「1月に1回、50単位」を算定できます。例えば、介護報酬単価を10円/単位と仮定した場合、利用者1人あたり月額500円の収益が見込めます。この加算は単価自体は高くありませんが、利用者の状況に合わせて適切に算定を重ねることで、事業所の安定した運営に貢献できる加算と言えるでしょう。
算定要件
通院時情報連携加算を算定するためには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。
- ケアマネジャーが利用者の診察に同行すること。
- ケアマネジャーが医師または歯科医師に対し、利用者の心身の状況や生活環境といった必要な情報を提供すること。
- ケアマネジャーが医師または歯科医師から、利用者の状況や今後の治療方針など、ケアプラン作成に必要な情報を受け取ること。
- 受け取った情報を、利用者の居宅サービス計画(ケアプラン)に記録し、計画に反映させること。
特に、「ケアマネジャーが同行し、医師等と直接情報をやり取りする」点が重要です。単に医療機関から情報提供書をもらうだけでは算定対象外となります。
2024年度介護報酬改定による変更点
2024年度の介護報酬改定では、これまでの算定率の低さという課題を踏まえ、より多くの事業所でこの加算が活用されるよう、算定要件の緩和と拡充が図られました。
歯科医師との連携も算定対象に
今回の改定における最も注目すべき変更点は、対象が従来の医師との連携に加え、新たに「歯科医師」との情報連携も含まれるようになったことです。高齢者の皆さまにとって、口腔内の健康は全身の健康状態やQOL(生活の質)に直結する重要な要素です。歯科医師との連携により、利用者の口腔内の状況や義歯の有無、咀嚼・嚥下機能、今後の治療方針といった具体的な情報をケアプランに反映させることが可能となります。
ケアマネジャーと医師等の連携強化
通院時情報連携加算は2021年度に新設されたものの、2022年4月時点での算定率はわずか**0.5%**と極めて低い水準にとどまっていました。そこで、2024年度の改定では、この課題を改善するためのテコ入れ策が講じられました。歯科医師との連携を対象に含めたこともその一環であり、連携を「特別な業務」ではなく「当たり前の業務」として定着させたいという国の狙いがあります。
【実践】通院時情報連携加算を算定するための具体的な流れ
多忙な現場で確実に算定業務を進められるよう、ステップ・バイ・ステップで解説します。
STEP1:利用者と医療機関への説明と同意取得
利用者ご本人とそのご家族、そして医療機関への丁寧な説明と同意取得です。目的を明確に伝え、利用者やご家族から文書で同意を得ることが必須です。医療機関へも事前に「加算算定のために同行し、情報連携を行いたい」旨を伝え、許可を得る必要があります。
STEP2:診察への同席と情報連携
- 医師へ提供すべき情報: 在宅での具体的な様子、服薬状況の変化、最近の心身の状態、本人や家族の不安・要望など。
- 医師・歯科医師から聴取すべき情報: 現在の病状や診断名、今後の見通し、治療方針、生活上の注意点、処方の変更理由など。
STEP3:受け取った情報をケアプランに記録・反映
医師等との連携後、最も重要なのが受け取った情報をケアプランに**「記録」し、「反映」させることです。記録は原則として「居宅介護支援経過(第5表)」**に行います。通院日、医療機関名・医師名、提供した情報の概要、受け取った情報の概要、計画への反映内容を詳細に記録します。
通院時情報連携加算の算定に関する留意点
普段から医療機関と良好な関係を築く
信頼関係があれば、同行時の連携もスムーズに進みます。普段からサービス担当者会議への医師の参加を依頼したり、情報提供書を定期的に送付したりするなど、顔の見える関係を構築しておきましょう。
算定業務の効率化にはICTツールの活用も検討
介護ソフトの中には、通院時情報連携の記録に特化したテンプレートが用意されているものもあります。記録がそのまま請求データに反映されるため、入力ミスや漏れを防ぎ、返戻リスクを低減できます。
通院時情報連携加算に関するよくある質問(Q&A)
- Q. 通院時情報連携加算の算定率が低いのはなぜですか?
- A. 業務負担の大きさ(調整や同行の時間)、診察現場での連携の難しさ、制度のメリットが正しく伝わっていないことなどの複合的な要因が考えられます。
- Q. 情報提供した文書はどのように記録すればよいですか?
- A. やり取りの要旨は必ず**「居宅介護支援経過(第5表)」**に記録してください。通院日、医師名、提供・取得情報の概要、今後のプラン修正方針を具体的に記載することが実地指導への備えとなります。
- Q. 連携する医師は利用者のかかりつけ医でなければなりませんか?
- A. 必ずしも制度上の「かかりつけ医」に限定されません。定期受診している専門医や地域の中核病院の医師など、必要な情報連携が可能な医療専門職であれば対象となります。
まとめ:医療機関との連携を強化し、ケアの質向上と収益アップを目指そう
通院時情報連携加算は、単に収益を増やすためのものではありません。ケアマネジャーが医師や歯科医師と直接情報交換を行うことで、利用者の生活実態に即した**「質の高いケアプラン」**の作成を可能にするものです。
特に2024年度の改定では歯科医師との連携も対象となり、包括的な支援がより重視されるようになりました。適切な情報連携と丁寧な記録によって、利用者のより良い生活支援と事業所の安定した経営の両立を目指しましょう。
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