介護食の種類一覧|状態別の選び方と簡単おいしいレシピを紹介

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介護食の種類一覧|状態別の選び方と簡単おいしいレシピを紹介

年齢を重ねたり、病気を経験したりすることで、「噛む」「飲み込む」といった当たり前の食事が難しくなり、食事の時間がつらく感じられる方は少なくありません。けれど、食は人生の大きな楽しみの一つ。栄養をとるだけでなく、気持ちの満足にも欠かせない時間です。そこで大切になるのが「介護食」。食べる方の体の状態に合わせて、安全においしく食事を楽しんでもらう工夫が詰まった食事を指します。この記事では、介護食の基本的な種類から、噛む力・飲み込む力に合わせた選び方、スーパーやオンラインで購入できる市販品の上手な使い方、手作りまで、簡単でおいしいレシピまで、幅広くご紹介します。


介護食とは?「食べる喜び」を支えるための食事

介護食とは、ただ「やわらかい食事」を指すものではありません。食べる方の咀嚼機能(噛む力)や嚥下機能(飲み込む力)に合わせて、形状・硬さ・とろみなどを調整した食事のことです。加齢や病気の影響で通常の食事が難しくなった方が、より安全に食事をとれるようにする目的があります。

介護食の役割は、栄養補給だけではありません。安全に食事をとることで、食べ物が気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)のリスクを減らせます。そのうえで、日々の食事を通じて「食べる喜び」や「生きがい」を支えることも、大きな役割。見た目や味を工夫して食欲を保ち、食事の時間を前向きに感じてもらうことは、生活の質(QOL)の維持・向上につながります。例えば、食べやすい介護食を用意できると、食事の準備や摂取にかかる負担が軽くなり、ご本人だけでなく介護する方の気持ちの負担も和らぎやすくなります。食事がスムーズに進めば、一緒に食卓を囲む時間が増え、孤立感の軽減にもつながるはずです。介護食は、単なる栄養摂取の手段ではなく、毎日の暮らしを支える土台となります。

介護食が必要になるのはどんなとき?

「もしかしたら、介護食が必要かも」と感じる場面は、日々の食事の中に見え隠れします。例えば、食事中にむせる回数が増えたり、硬いものを避けてやわらかい物ばかり選ぶようになったりした場合は注意が必要です。ほかにも、食事に時間がかかるようになった、口の中に食べ物が残りやすい、といった変化は、咀嚼機能や嚥下機能の低下を示すサインかもしれません。食事量の減少や体重減少も、検討のきっかけになります。

こうした変化は、加齢による機能低下だけでなく、脳卒中後遺症、パーキンソン病、認知症など、さまざまな病気が背景にある可能性もあります。早めに気づき、合った対策をとることが大切です。気になるサインが見られたら、かかりつけ医や歯科医師、管理栄養士、言語聴覚士などの専門職へ相談してみましょう。助言を受けることで、状態に合った食事形態やケアの進め方が見つかりやすくなります。

介護食の3つの大切な役割

介護食の役割の一つ目は、「低栄養の予防と健康維持」。通常の食事が難しくなると、必要な栄養が不足し、低栄養に傾くリスクが高まります。介護食は、食べやすい形態に調整することで、エネルギーやたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどを無理なくとれるように支えます。体力や免疫力の低下を防ぎ、健康的な生活を保つための支え。

二つ目は、「誤嚥(ごえん)の防止」です。噛む力や飲み込む力が落ちると、食べ物や飲み物が誤って気管に入る誤嚥が起こりやすくなります。誤嚥が原因で起こる「誤嚥性肺炎」は、高齢者にとって重い状態につながることもある病気です。介護食は、硬さや形状、とろみを整えることで、食べ物が安全に食道へ運ばれやすい状態をつくり、誤嚥リスクを下げる役割を担います。

三つ目は、「QOL(生活の質)の向上」。食事は栄養補給だけでなく、暮らしの中の大きな楽しみであり、生きがいでもあります。介護食でも、彩りや盛り付け、味付けを工夫すると食欲が刺激され、食事の時間が豊かになりやすいものです。食べたいものを安全においしく食べられることが、心の満足感や生活の活力につながります。


【状態別早見表】噛む力・飲み込む力で選ぶ介護食の種類


介護食にはさまざまな種類があり、「噛む力(咀嚼機能)」と「飲み込む力(嚥下機能)」のレベルに合わせて調整されています。今の状態に合った介護食を選ぶことが、安全においしく食事を続けてもらううえでとても大切。まずは次の早見表で、全体像をつかんでください。

噛む力・飲み込む力 食事形態 主な特徴
普通(硬いものも食べられる) 普通食 一般的な食事
やや弱い(硬いものや大きいものは少し苦手) きざみ食 食材を細かく刻んで食べやすくする
弱い(歯ぐきでつぶせる程度) ソフト食(軟菜食) 形は残しつつ、歯ぐきや舌でつぶせるやわらかさ
かなり弱い(噛む力も飲み込む力も著しく低下) ミキサー食 ミキサーでなめらかなポタージュ状にする
著しく弱い(固形物は困難、むせやすい) ゼリー食・ムース食 ミキサー食を固め、つるんとした食感にする
ほとんどない(口からの摂取が困難) 流動食 水分や栄養を補給するための液体状の食事


きざみ食|細かく刻んで食べやすく

「きざみ食」とは、食材を細かく刻んで、噛む力が弱い方でも食べやすくした食事です。肉や野菜、魚など、普段の食材を小さく刻むだけで作れるため、比較的取り入れやすい形態の一つ。口の中でまとまりやすくなり、咀嚼の負担を減らせます。奥歯で噛みにくい方や、細かく噛み砕くことに疲れやすい方にとって、食事を進める助けになります。

一方で、きざみ食には注意点もあります。細かく刻むことで口の中でばらばらになりやすく、かえって誤嚥リスクを高める場合があるのです。対策として、片栗粉や市販のとろみ調整食品を使い、刻んだ食材全体にとろみをつけたり、あんかけにしたりして、まとまりやすくする工夫が有効。喉へ流れ込みやすくなり、安全性が高まります。


ソフト食(軟菜食)|歯ぐきでつぶせるやわらかさ

「ソフト食(軟菜食)」は、食材の形を残しながら、歯ぐきや舌で簡単につぶせる程度にやわらかく調理した食事です。きざみ食のように刻むのではなく、食材そのものをやわらかくするため、口の中でまとまりやすく、見た目も常食に近いのが特徴。食欲を保ちやすく、食事の楽しみを続けやすいメリットがあります。

歯ぐきや舌でつぶせる硬さなので、噛む力が落ちてきた方でも比較的安全に食べやすい形態。ソフト食は、歯が少なくなった方、入れ歯が合わない方、口腔内の痛みで硬いものがつらい方などに向いています。調理は、長時間煮込む、蒸す、圧力鍋を使うなどで繊維をやわらかく仕上げるのが基本です。魚の煮付け、やわらかく煮込んだ鶏肉、しっかり火を通した野菜などが代表例。


ミキサー食|なめらかなポタージュ状

「ミキサー食」は、食材をミキサーでなめらかなペースト状やポタージュ状にした食事です。噛む力だけでなく、飲み込む力も低下している方に適しています。固形物でむせやすい、ほとんど噛めない、といった状態でも、比較的安全に栄養をとれる大切な形態。調理はミキサーにかけるだけなので取り入れやすい一方、食材ごとにかければ色が混ざりにくく、見た目にも配慮できます。

ただし、ミキサー食には課題もあります。液体状になりやすく、何の料理か分かりにくいため、食欲がわきにくいと感じる方もいます。また、水分量が増えがちで、少ない量で十分なエネルギーや栄養をとるのが難しくなる場合もあります。対策として、食材ごとに色や風味を分ける、固形化剤でゼリー・ムース状にして見た目を整える、栄養補助食品で不足しがちな栄養を補うなどが有効です。


ゼリー食・ムース食|つるんと飲み込める

「ゼリー食」「ムース食」は、ミキサー食をゲル化剤(固形化剤)でゼリー状・ムース状に固めた食事形態です。噛む力・飲み込む力がかなり低下した方を対象としますが、最大の利点は、表面がなめらかで性状が均一な点にあります。口の中でばらけにくく、まとまって喉を通過しやすいため、誤嚥リスクを下げやすいのが特徴です。

固形物でむせやすい方や、水分でもむせることがある方にとって、安全に食事を楽しむ選択肢になります。また、ミキサー食では失われやすい「形」や「色」を、型を使って再現できるのも魅力。魚のムース、野菜のゼリーなど、見た目にも工夫した提供がしやすく、満足感の向上につながります。


流動食|水分補給や栄養補給が目的

「流動食」は、他の介護食とは少し位置づけが異なり、口から固形物をほとんど、または全くとれない場合に、水分や栄養を補給することを主な目的とした液体状の食事です。医療現場で医師の指示のもと用いられることが多く、鼻や胃ろうからチューブで栄養を入れる「経管栄養」に使用する「経腸栄養剤」と、ドラッグストア等で購入できる「栄養補助飲料」の大きく二つがあります。経腸栄養剤は、必要な栄養素がバランスよく配合され、少量で効率よく栄養をとれるよう設計されています。



もう迷わない!介護食の選び方2つの基準

介護食には種類が多く、いざ用意したり市販品を選んだりするときに「どれが合うのだろう」と迷いやすいものです。そんなとき、客観的な目安となる基準を知っておくと、状態に合った食品を安全に選びやすくなります。


基準1:市販品選びの目安「ユニバーサルデザインフード(UDF)」

「ユニバーサルデザインフード(UDF)」は、日本介護食品協議会が定めた規格に基づく介護食品の分類で、パッケージには統一マークが表示されています。食品の「かたさ」や「粘度」などの客観指標で4区分に分けられ、食べやすさの目安を一目で判断できる仕組みです。初めて介護食を選ぶ方でも、咀嚼(そしゃく)機能・嚥下(えんげ)機能に合う商品を探しやすい工夫がほどこされています。


区分1:容易にかめる

UDFの「区分1:容易にかめる」は、硬いものや大きいものが少し苦手でも、一般的な食事に近い形態を対象としています。普通のご飯から、やややわらかいご飯程度を目安とし、舌で押しつぶせるくらいの硬さ。やわらかく煮込んだ肉や魚のレトルト、パン粥などが該当します。


区分2:歯ぐきでつぶせる

「区分2:歯ぐきでつぶせる」は、硬いものは難しいものの、歯ぐきや舌でつぶせるやわらかさなら食べられる方を対象とします。目安は全粥やだし巻き卵程度で、前述のソフト食(軟菜食)に近い形態です。食材の形がある程度残るため、見た目も楽しめ、食欲を刺激しやすい利点があります。


区分3:舌でつぶせる

「区分3:舌でつぶせる」は、細かくてやわらかい状態なら食べられる方を対象とします。舌で容易に押しつぶせるペースト状のおかず、よく煮込んだうどんなどが目安です。形は残りにくい一方で、口の中でまとまりやすく、飲み込みやすさに配慮されています。


区分4:かまなくてよい

「区分4:かまなくてよい」は、固形物が小さくても食べづらく、水分でもむせやすい方を対象とします。なめらかなペースト状が基本で、ミキサー食やムース食がこの区分に該当します。飲み込む力が大きく低下している方でも安全に食べられるよう、きめ細かく均一な状態に調整されているのが特徴。


基準2:目的別に探せる「スマイルケア食」

「スマイルケア食」は、農林水産省が推進する介護食品の分類です。UDFが主に「食べやすさ」に焦点を当てるのに対し、スマイルケア食は「栄養補給が必要な方向け」も含めた、より広い範囲をカバーしています。健康な状態から介護が必要な状態まで、幅広い高齢者の食を支えるマークとして展開されています。


青・黄・赤マークの違いとは?

スマイルケア食は目的に応じて「青」「黄」「赤」の3つのマークに分かれています。「青マーク」は、健康維持のために栄養補給が必要な方向けの食品です。「黄マーク」は、噛むことに課題がある方向けで、UDFの区分1〜区分3あたりが該当します。そして「赤マーク」は、飲み込むことに課題がある方向けで、UDFの区分4に近いものが該当します。



【形態別】簡単・おいしい介護食レシピと調理のコツ

市販の介護食は便利で手軽ですが、手作りならではの温かさもあります。見た目を整え、味わいを引き上げるための具体的な調理のコツをご紹介します。


見た目と味を良くする3つの調理ポイント


ポイント1:彩りや盛り付けを工夫する

食事は、まず見た目から始まります。ほうれん草の緑、人参のオレンジ、卵の黄色など、色のはっきりした食材を意識的に取り入れるとよいでしょう。ミキサー食では、食材ごとに調理し、別々にミキサーにかけると色が混ざりにくくなり、見た目の印象が上がります。あんかけやソースを上からかけると、まとまりと彩りが出やすい点もポイント。


ポイント2:だしや香りを活用して風味豊かに

介護食は、やわらかく煮込んだりミキサーにかけたりすることで、味わいがぼやけやすくなります。水の代わりに昆布やかつお節でとっただしを使うと、うま味が増して味わいに奥行きが出ます。ショウガ、ゆず皮、ごま油などを少量使い、風味を広げるのも効果的です。


ポイント3:とろみ剤や固形化剤を上手に使う

とろみ調整食品(とろみ剤)は、汁物にとろみをつけて誤嚥を防ぎ、きざみ食をまとめやすくします。ゲル化剤(固形化剤)は、ミキサー食をゼリーやムース状に固めるために用います。使う際はダマにならないよう、混ぜながら少しずつ加えるのがコツ。安全性と満足度の両立。


簡単おいしい!おすすめレシピ紹介


【ソフト食】鶏肉のクリーム煮

【材料】鶏もも肉、玉ねぎ、人参、じゃがいも、ブロッコリー、牛乳、コンソメ、小麦粉、バター、塩、こしょう

【作り方】
1. 鶏もも肉は筋や脂肪を取り除き、厚さを均一にして一口大に切り、弱火で蓋をして20〜30分(または圧力鍋で)やわらかく煮ます。
2. 小さめに切った玉ねぎ、人参、じゃがいもを鶏肉と一緒に煮ます。ブロッコリーはやわらかく茹でておきます。
3. バター、小麦粉、牛乳、コンソメでホワイトソースを作り、具材を加えて軽く煮込み、味を調えます。
4. 彩りとしてブロッコリーや人参を添えて盛り付けます。


【ミキサー食・ムース食】魚のムース 彩り野菜添え

【材料】白身魚(タラや鯛など)、だし汁、生クリーム、ゲル化剤、ほうれん草、人参、塩、こしょう

【作り方】
1. 白身魚は加熱して骨と皮を除きます。野菜もやわらかく茹でます。
2. 白身魚、だし汁、生クリーム、塩・こしょうをミキサーにかけ、なめらかなペーストにします。
3. ムースにする場合はゲル化剤を加えて混ぜ、型に流して冷やし固めます。
4. ほうれん草と人参もだし汁とミキサーにかけ、ペースト状にしてムースに添えます。


調理の負担を減らす便利グッズ

毎日の介護食作りを効率化するために、「フードプロセッサー」「ハンドブレンダー」は欠かせません。「圧力鍋」も短時間で食材をやわらかくするのに重宝します。道具の力も借りながら、無理のない形で続けていきましょう。



介護者の負担を軽くする!市販品や宅配サービス活用術

「全部を手作りしなければ」と抱え込みすぎず、市販の介護食品や宅配サービスを上手に取り入れましょう。準備時間が短くなり、気持ちに余裕が生まれやすくなります。


市販の介護食(レトルト・冷凍)のメリットと選び方

温めるだけ、解凍するだけで用意できる市販品は、時間と労力の節約になります。管理栄養士監修で栄養バランスが整っており、和洋中とメニューも豊富です。UDFやスマイルケア食のマークを確認し、ご本人の好みに合うものを選びましょう。


便利な介護食の宅配弁当サービス

定期的に自宅へ届く宅配弁当は、献立を考える手間を省けます。「きざみ食」「ムース食」など形態を選べるほか、塩分制限など疾患に対応したコースもあります。続けやすさを重視し、まずはお試しセットから活用するのが安心です。


市販の介護食はどこで買える?

ドラッグストアの介護用品コーナーや、スーパーの定番コーナー、Amazon・楽天市場などの大手通販サイトで購入可能です。専門的なサイトなら、よりニーズに特化した商品を見つけやすくなります。



安全な食事のために知っておきたい介助のポイントと注意点

適切な介護食と同じくらい重要なのが、安全に食べてもらうための「食事介助」です。


誤嚥を防ぐ食事の姿勢と環境づくり

姿勢の基本は、椅子に深く腰掛け、足の裏が床につくこと。少し前かがみで顎を引くと、食べ物が食道へ流れやすくなります。介助者は目線を合わせ、やや下からスプーンを運ぶようにしましょう。また、テレビを消すなど食事に集中できる環境も大切です。


食前・食後の口腔ケアの重要性

食前は唾液分泌を促して嚥下を助け、食後は口の中の細菌を減らして誤嚥性肺炎を予防します。毎食後の歯磨き、入れ歯の手入れ、舌の清掃など、清潔を保つ意識が大切です。


本人の「食べたい」気持ちを大切にするコミュニケーション

一方的に口へ運ぶのではなく、「次は何にしますか」といった声かけが意欲につながります。本人のペースに合わせ、食事を「暮らしの楽しみ」として感じてもらえる関わりを心がけましょう。



まとめ:その人に合った介護食で、毎日の食事をもっと豊かに

介護食は、「噛む力」「飲み込む力」の状態に合わせて選ぶことが何より大切です。UDF区分やスマイルケア食のマークを活用し、手作りと市販品・宅配サービスを賢く組み合わせましょう。安全な姿勢や口腔ケアにも配慮することで、食べる喜びを大切にできる食卓につながることを願っています。

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