「ミキサー食はムース食・ペースト食と何が違うの?」
「ミキサー食の作り方や注意点は?」
ミキサー食に対して、上記のような疑問を持つ介護職員は多いでしょう。
ミキサー食は、高齢者など噛む力や飲み込む力が弱くなった方向きの食事形態です。食材を細かく粉砕し、食べやすくします。この記事は医療・介護に携わる人を対象に、ミキサー食の基礎知識や作り方・提供時の注意点をわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
ミキサー食とは
ミキサー食は、食材をミキサーで半液体状にした食事形態です。家庭・医療・福祉施設と幅広く採用されており、次の要素が当てはまります。
ミキサー食
目的 | 噛む力や飲み込む力が低下した人でもスムーズに栄養を補給できる |
見た目 | トロトロとしたピューレ状 |
食感 | 噛む必要がなくても飲みめるくらいなめらかな食感 |
メニュー例 | 野菜スープ・おかゆ・クリームシチュー |
ミキサー食と似たような食事形態に「ムース食」と「ペースト食」があります。それぞれの違いを押さえておきましょう。
- ムース食との違い
- ペースト食との違い
見た目・食感・メニューの違いを順に詳しく説明します。
ムース食との違い
ムース食とミキサー食の違いは、主に形状や食感です。
ムース食
目的 | 嚙む力が低くても舌や歯ぐきでつぶしながら食べられる |
見た目 | 華やかで色や形が整えられていることが多い |
食感 | 泡立てて空気を加えるためフワッとした軽い食感 |
メニュー例 | 白身魚のムース・鶏肉と野菜のムース・ポテトのムース |
ミキサー食は形状を保たない食事です。対してムース食は、「とろみ剤」や「片栗粉」を使って整形された食事です。
ペースト食との違い
ペースト食とは基本的にミキサー食に含まれる食事形態です。ミキサー食のなかでも水分量が少ないものがペースト食に分類されます。
ペースト食
目的 | 飲み込む力が低くても飲み込みやすい |
見た目 | シンプルで無機質な感じが強い |
食感 | 滑らかでドロっとした口当たり |
メニュー例 | ハンバーグペースト・かぼちゃのペースト・ゆで卵のペースト |
ミキサー食と比べると粘度があります.。ムース食より水分が多く、ミキサー食より水分が少ないのがペースト食です。
ミキサー食のメリット
見た目や食感を楽しむには向いていないミキサー食ですが、その代わり以下のようなメリットがあります。
- 噛むことや飲み込むことが苦手な人でも食べやすい
- 栄養分が効率良く摂取できる
ミキサー食のメリットを、順に詳しく解説します。
噛むことや飲み込むことが苦手な人でも食べやすい
ミキサー食の最大のメリットは、「噛む力(咀嚼)」や「飲み込む力(嚥下)」が低下していても食べやすいところでしょう。
上手く噛めないことで食事に消極的な人や、食事が喉を通りにくく疲れるという方に向いています。
食べ物が喉頭と気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」をしにくくなるため、窒息や肺炎のリスクも減ります。
栄養分が効率良く摂取できる
食事における最適な栄養分の割合は、タンパク質13〜20%・糖質(炭水化物)20〜30%・脂質50〜65%とされます。そしてビタミン・ミネラルも、それらの分解や合成を助ける重要な栄養素です。
すでに食材が砕いた状態となっているため栄養分の吸収効率が高く、消化機能が低下している方にも適しています。消化の際に必要なエネルギーが少なく、消化器官への負担も少ないといえるでしょう
ミキサー食の作り方
ミキサー食の作り方は、食材をミキサーにかけられる状態にするところから始めます。
ミキサー食を作る手順
手順1 | 材料の準備 | 野菜・肉・魚などの加熱して柔らかくなる食材は事前に茹でる蒸す煮る |
手順2 | ミキサーで攪拌 | 適度な量の食材をミキサーに入れて細かく刻む |
手順3 | 濃度の調整 | 水・スープ・だしなどの液体を加えて滑らかにする 栄養価を高めるために牛乳や豆乳を加えることもある |
手順4 | 味の調整 | 調味料を加え味や風味を整える 塩分や香辛料は控えめにするのが一般的 |
食べる人の口や咽喉状態に応じて、水分調整しましよう。準備や仕上げの工程をしっかり行い、素材の味を活かす工夫も重要です。
ミキサー食を作る際のポイント・注意点
手順を覚えてしまえば誰でも作れるミキサー食ですが、以下のようにいくつかポイントがあります。
- 向いている食材を選ぶ
- 栄養バランスを気を付ける
- 粘度と水分量で飲み込みやすくする
- 彩りを工夫する
それぞれを詳しく見ていきましょう。
向いている食材を選ぶ
ミキサー食作りのポイントは、食材をほぼ噛まずに飲み込める状態にすることです。ミキサーで撹拌しやすく口の中に残らない食材を選ぶのがポイントです。
ミキサー食に向いている食材と向いていない食材
向いている食材 | 向いていない食材 |
ほうれん草などの葉物野菜 でんぷん質が多いイモ類や豆類 繊維が少ないトマトのような野菜 脂肪分が多く含まれている魚や肉 |
餅・パン・だんごなど粘り気のある食材 イカ・タコ・貝など粉砕しにくい食材 キノコ・こんにゃくなど弾力性のある食材 ごぼう・たけのこなど繊維質の多い野菜 冷凍食品など凍ったままの食材 |
基本的にミキサーで撹拌しづらい食材は不向きです。できるだけ栄養価が高く粉砕しやすい食材を選び、匂いが強いものや腐りやすいものは避けるのが賢明です。
栄養バランスを気を付ける
ミキサー食が必要な人のなかには、食事の量や種類を制限されている方もいます。栄養不足にならないよう食材のバランスをしっかりと考えることも欠かせません。
栄養素を考慮した食材例
タンパク質 | 魚、鶏肉、豆腐、卵、乳製品(ヨーグルト・チーズ)など |
炭水化物 | 白米・おかゆ・じゃがいも・パン・麺・芋類など |
脂質 | オリーブオイル・えごま油・バター・マーガリン・ナッツ類など |
ビタミン・ミネラル | ニンジン・かぼちゃ・ほうれん草・モロヘイヤ・バナナ・キウイ・大豆・レバー・ウナギなど |
一品ずつミキサーにかけるより、複数の食材を組み合わせて調理することがポイントです。栄養が偏らないように工夫しましょう。
粘度と水分量で飲み込みやすくする
ミキサー食は粘度が強すぎると、窒息のリスクが高いです。飲み込む際に食材が喉に張り付いてしまい、嚥下できないからです。
かと言って水分量が多すぎると、飲食物や唾液などが誤って気道(気管)に入ってしまう誤嚥を起こしやすいです。誤嚥は異物が肺に入るため、肺炎(誤嚥性肺炎)のリスクも高まります。
ミキサー食は、出汁やスープなどの水分で粘土調節することが重要です。栄養と風味をプラスできるうえに、嚥下や誤嚥のリスクを回避しましょう。
彩りを工夫する
素材をひとまとめにミキシングしてしまうと、単調な見た目になってしまいます。以下の素材を個別に作ることで、彩りを工夫できます。
彩りの異なる野菜や果物
緑色 | ほうれん草、ブロッコリー、ピーマンなど |
赤色 | トマト、パプリカ、ビーツ、いちごなど |
黄色 | にんじん、かぼちゃ、パプリカ、マンゴーなど |
紫色 | 紫キャベツ、ブルーベリー、紫芋など |
白色 | カリフラワー、大根、じゃがいもなど |
複数の色をもつ野菜や果物をソースのように使用してお皿を彩るのも、食事を楽しくする要素ではないでしょうか。
まとめ
ミキサー食のメリットや作り方・注意点を解説してきました。ミキサー食は、嚥下や咀嚼が難しい人でも栄養を確保できる優れた食事形態です。
ムース食やペースト食と違い水分量が多い特徴がありますが、見た目や栄養面に配慮すると食事の楽しさも提供できます。安全に美味しく健康的な食事を目指して、ミキサー食の工夫をしていきましょう。
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