
いしどりや荘様
https://ishidoriyasou.jp/業態 | 特別養護老人ホーム |
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法人名 | 社会福祉法人石鳥谷会 |
定員 | 100名 |
導入時期 | 2023年3月 |
取材 | 施設長 赤坂様、給食係長 菅原様、栄養士 高橋様 |
施設情報
「日々すべての人々とともに感謝の気持ちを忘れずしあわせを築く道をあゆみたい」という理念のもと、家庭的で心温まる介護を目指し、「入居者の至福」を常に追求しながら、地域の高齢者福祉に貢献しています。
従来型・ユニット型を併設し、自分らしい暮らし方ができるよう、自宅での生活の継続を目指し、ご家族と共にご入居の皆さまの暮らしを支えます。

施設長 赤坂様(中央)、給食係長 菅原様(左)、栄養士 高橋様(右)
クックデリ導入のきっかけ、選んだ理由はありますか?
―クックサーブと比較しても違和感ない味-
以前、お付き合いのある卸業者さんから完調品を紹介されたことがあり、クックデリの存在は知っていましたがその時は導入しませんでした。そんな中、赤坂施設長が研修やICT展示会等、各地で情報収集をされていたところ食事に関する情報も得られていました。完調品に関する情報も施設で展開され、導入についてまだ検討はしていなかったものの施設の食事対応を変えていく必要性も同時に感じてはいました。赤坂施設長の情報提供をきっかけに、このタイミングで検討してみようと付き合いのある卸業者さんに再度クックデリについて問い合わせました。
実は導入を検討するにあたって葛藤もありました。クックサーブは作りたてを提供できるので野菜の鮮度もよくおいしい状態で提供できるのが強みでしたが、完調品に変えることで入居者様からクックサーブの時と比較されて、ネガティブなご意見が出てくるのではという不安と後ろめたさのようなものがありました。ただ赤坂施設長の新しいことを取り入れる姿勢に後押しされ、前向きに挑戦してみようという気になったのです。
クックデリは今の設備のまま対応でき、試食会をしたところクックサーブとの違和感がないおいしさだったのがよかったです。もう1社の完調品も試食したのですが解凍したら水っぽさがあり、冷凍のイメージそのままの味でした。クックデリは冷凍と思えないクオリティでしたね。メニュー内容も目新しいものが多く、今までやりたかったけれど実現できなかった料理が提供できるようになりました。5施設分まとめて調理していたのを各施設で発注・管理できるようになったのも大きなメリットです。
導入後、入居者様の変化はありましたか?
―切り替え後も冷凍完調品とわからないおいしさ―
クックサーブから完調品に切り替えた後も、何も違和感なく食事を召し上がってくれていますし、おいしいという声もありました。冷凍食品へのイメージがよくない方も多いので、あえて入居者の皆さまに食事を完調品に切り替える説明はしませんでした。ですが食が進んでいるのを見て、安心しました。
当施設は従来型とユニット型が併設している特養で館内が広く床数も多いので、ユニット型は食事時間にばらつきがあり提供が大変だったのですが、ユニットごとのキッチンで調理ができるようになったことでそれぞれのタイミングで食事提供できるようになりとてもよかったです。
施設様にとっての変化はありましたか?
―厨房職員が外に出て入居者の声を聞き、外部研修の参加も可能に―
食事を預かる給食課、献立を作る立場の栄養士(高橋)として、食材や栄養のことを毎日考えながら価格も確認しなければなりません。物価高騰等の影響で、以前は食材発注の際に仕入れ業者が高いものは連絡をくれて購入をやめたり別の食材にしたりして原価を調整できていましたが、今は物価高が当たり前になってしまい発注したものがそのまま納品され、納品書を見てびっくりすることもありました。また栄養士が価格を確認して安いものを仕入れたりと、調整する時間と手間がずいぶんかかっていました。クックデリにしてから価格が安定しているのでそういった心配がなくなりましたね。
仕込みの時間が減ったのも大きいです。現在、管理栄養士2名、献立作成・発注は栄養士の私(高橋様)が担当しています。クックサーブの時は午前午後2名ずつ厨房に入っていましたが今は半分の人員で作業できていますし、作業の手間と時間も考慮しながら献立を作っていましたが今は作業時間も大幅に減りました。
厨房で時間短縮できるようになった分、赤坂施設長から「厨房職員も外にでて入居者さまとコミュニケーションを取る時間が必要」と声掛けもあり、なるべく現場に出るようになりました。厨房だけでは聴けなかった入居者さまの声もあったので、クックデリ導入によってその時間が取れるようになったのはよい変化です。それまでは調理は調理の仕事、という縦割りな考えだったので、管理栄養士がミールラウンドしていましたが厨房に意見や声がそのまま届くことが少なかったのもありました。厨房から外に出る事で直接入居者の声が聞けるようになったのは大きな進歩です。
また施設内に喫茶店も設けてさらにコミュニケーションの場を増やししました。時間を有効活用できるようになって気付いたことですが、給食という現場は目立たない部署だと思っていましたが赤坂施設長になってからはもっと私達も表に出て色々なやり方を取り入れたり考えたりできるようになり、「給食のあり方」に対する考え方が変わってきています。
クックサーブから完調品に変えたことで栄養価の心配もありましたが、そこは栄養士(高橋)が献立をうまく活用して1品差し替える等の工夫で対応できています。厨房職員が外部研修に出席して色々な取り組みを勉強し、施設全体で情報連携できるようにもなりました。また3年間かけて法人の全職員を交換研修して、介護・給食・医務など別の仕事を把握し、厨房の細かな業務を知ってもらい厨房職員も介護の現場を知ることで互いの仕事内容を把握していきました。職員は130名いますが全員研修を終えています。5施設の業態も違うので、介護の方法も違うことを知りました。改善点も互いに見つかり、各施設の良いところを取り入れることで士気も高まり、施設間の異動も基本せずに安定して仕事をしてもらえるので離職防止につながっていると思います。
食事イベントも実施しており、バイキング食を年2回、季節の行事とかぶらない時期に実施しています。他法人施設の視察を行うことで、長年やってきて慣れてしまった考え方が変わり、新しいものを柔軟に取り入れるようになりました。
バイキング食は従来型とユニット型で分けて、ビュッフェスタイルで行っています。毎回12~13品のお食事を作っていまして、巻き寿司、いなり寿司等、介護度の高い方が普段食べられない内容もこの時は召し上がれるのです。もちろん職員が介助しながら安全に楽しんでもらっています。クックデリの単品もプラスして品数アップできるので助かっています。赤坂施設長より、イベントの際は介護食ではなく普通に食べられるものを出すように言われています。天ぷら、角煮、しゃぶしゃぶ、いくら丼、デザート等豪華に出していますよ。これがきっかけで食事の摂取量が増えた方もいるほどで人気のイベントです。食べたいもののリクエストを聞いて取り入れることもありますし、食べることへの関心が高まるのは嬉しいですね。
当施設は、施設というよりいつもの暮らしの場であるような雰囲気づくりを大切にしており、食事に関してもその考えです。地域柄の食の好みもあるので、朝食は和食中心にしてごはんに合うものにする等、調整することもあるのですが完調品なら簡単なので困っていません。
最後に、クックデリのおすすめポイントがあれば教えてください
まずは下処理時間が半減したこと。そして必要人員が厨房4名から3名になったこと。これらがとても大きな影響です。人手不足の今、クックデリはメリットが大きいです。「おいしく食べられる食事とは」を考え、それぞれに対応していきたいと常に考えています。食器は陶器を使い、箸・茶碗等、自宅からご家族が持ってくることも可能です。献立の色味に合わせて食器も選んでいますし、今は若手職員にも自分で考えてもらい、おいしく見える盛り付けをしてもらっており頑張っていますよ。施設感を出さない暮らしの場として内装や食事も意識し、調理の香りや音を感じられるようにし、それぞれの暮らしに対応していけるように進めていきたいです。
昨年度から各施設でクックデリを使っていまして、特養と小規模はスチームコンベクション、グループホームは湯せんと調理方法は多少違いますが、それぞれ自分たちで発注・解凍、提供できるようになったので運営がスムーズになりました。食事提供のより良い方法は特養を母体にして各施設に波及していっているかなと感じます。完調品を、ただ使うだけでなく「活用する」ことで業務改善になりました。攻めと守りの部分をバランスよく考え、内容・価格・使い勝手がよい献立を作れることができるようになったのが完調品のよさです。冷凍なので保存ができ、献立を組み替えても後で使える。当日食数が変わって使わなかった場合も取っておけるので別日に提供も可能なのは冷凍のよいところですね。
人手が少なく募集しても人が集まらない状況は全国的に同じ状況なので、完調品をうまく取り入れていかないとこの先より大変になってくるのではと感じています。当法人はこれからも活用しながら施設運営をより豊かなものにしていきたいです。