
ケアハウスさつき園様
https://www.carehouse-satsuki.com/業態 | ケアハウス |
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法人名 | 社会福祉法人丘珠さつき福祉会 |
定員 | 70名 |
クックデリ導入時期 | 2022年10月~ |
取材 | 管理栄養士 金谷様 |
施設情報
札幌市内の落ち着いた場所にあるケアハウスです。「優しさに包まれた未来」をモットーに、入居者様が楽しく幸せな生きがいのある日々を過ごせるよう努めています。
自主性を尊重し、日々穏やかに安心して過ごせるよう援助し、いつまでも元気で温かく明るい快適な環境の中で生きがいをもって生活ができるようにサポートします。元気な方が多くいらっしゃるので、楽しくにぎやかでありながらご自身のペースで過ごしていただいております。
管理栄養士 金谷様
導入前の食事提供はどのようにされていましたか?
―自前調理―
自前調理で厨房職員を人材派遣会社から8名採用していました。そこから早番2名、遅番2名で厨房を運営していました。
管理栄養士は私1名で、食材発注、献立管理、支払い関連、監査書類の記入漏れチェック等、すべて対応しており忙しかったのに加え、食事の管理だけでなく施設運営の仕事もあったので毎日大変でした。
お食事に対する課題はありましたか?
―人員の入れ替わりが激しく自前の大量調理が困難にー
数年前に人材派遣会社から完調品活用の提案があり、スポット利用からどうかという話をいただきましたが、まだ厨房運営で困っているという感覚はなく自前調理のまま続けられると思い見送ったことがあります。献立は私が組んでいましたし、当時は人員も問題なかったのでがんばれば大丈夫、と思っていました。
そんな中、私が産休に入りましてその間は栄養士を派遣で入ってもらっていました。しかし食材高騰や厨房の人員不足が顕著になってきて、自前での大量調理が困難になってきました。場所的にも、施設は札幌市内ですが車通勤のエリアで厨房人員の入れ替わりも激しくなり定着しなかったのも要因です。
これらの課題を解決するためには、やはり完調品を取り入れていく必要があると施設長も考え、クックデリを検討しました。
クックデリ導入のきっかけ、選んだ理由はありますか?
―使い勝手のよさ、納得の味-
毎食の調理時間は限られている中、また管理栄養士である私が産休中で厨房運営が以前よりスムーズでなくなってきて、大量調理を継続するには完調品を使った方がよいと施設長の判断がありました。以前提案頂いたのもあり、クックデリの活用を検討して、他社も含め試食会をしました。
クックデリの試食会は2回させていただき、味がよく納得できたこと、献立プランが選べること、スポット利用もできることがポイントで、ついに完調品を導入することに決めました。
導入後、利用者様の変化はありましたか?
―冷凍へのネガティブなイメージを払拭し、楽しい食事の時間に―
入居者の方々は、手作りの料理を食べているのが当たり前だったので、切り替えた当初は冷凍食品というイメージへの抵抗がかなりありましたね。冷凍はおいしくないという概念が強くあり、施設の懇談会で食事提供の内容を変更することについて担当から説明しましたが、手作りに戻してほしいという声が実際ありました。
私が職場復帰後、改めて懇談会を開いて説得に加わって冷凍食品も今の時代はよいものという説明を根気強くしました。冷凍食品での食事になると栄養価は大丈夫か、野菜が足りないのではないか、と気にされる方もいましたが、施設内の掲示物でも食事の内容や栄養価について発信したり、時間をかけて説得していくことで冷凍完調品への誤解が減り、そういったネガティブな声は次第になくなっていきました。
クックデリを導入してからも、完調品だけで完結するのではなく入居者様の食事への楽しみを少しでも増やすためサラダバイキング、ヨーグルトバイキング、ジャムバイキング、飲み物バイキング等、いろいろな工夫をするようになりました。
サラダバイキングの野菜は知り合いの八百屋さんから仕入れ、カットして納品してもらっており、施設の隣に広い畑があるので入居者様の皆さんと野菜を育て、夏はミニトマトを収穫したりしてサラダに入れています。
飲み物バイキングは、牛乳3種・野菜ジュース・きなこ豆乳・ココア等、好きなものを飲み放題にしているのですが人気で、毎朝継続しています。
ジャムバイキングやヨーグルトバイキングも楽しみにしていただいています。今後、焼きたてクロワッサンの日というイベントも実施予定です。
元気な方が多い施設なので食事のトレーも自分で運び、小鉢を選んでもらうスタイルでそれぞれ食事の準備をしています。小鉢もひとつひとつ違う柄や形を使っており、選ぶ楽しみがあったりします。実は食器は陶器を使っており、どうしても割れることもありますがメラミン食器だと施設感がありますよね。自宅で食べるような雰囲気を大切にしたいという想いから、陶器に変更しました。ごはん茶碗も陶器で、炊き立てのご飯を自分で適量よそって席に着きます。食事を楽しんでもらいたいという施設全体の想いも強く、こうした工夫も必要なことだと思い、勇気をもって変更しました。
施設の目の前にある畑では、スイカやメロンを上手に作れる入居者の方もいるのですよ。育てるのがなかなか難しい野菜でも、畑に詳しい入居者様がいたりするので楽しくやっています。収穫した野菜はもちろん施設で一緒に食べて話に花が咲いています。
また当施設は入居者様のクラブ活動がいくつかあるのですが、調理部があり9名の方が所属しています。毎月食事イベントを行っており、たいへん盛り上がっています。手順・レシピ・調理計画書は管理栄養士が作成し、季節に応じた特別食を皆さんで作って頂きます。
あんこフラワー(おはぎ)、みそおでん、冷やしラーメン、タラの小鍋等、凝ったものもたくさんありますが、もともと料理をしていた主婦の方も多くとても上手ですしお昼にちゃんと間に合うよう調理を楽しんでくれています。特にタラの小鍋は個別盛りで五徳に火をつけたりして旅館の料理のような雰囲気も楽しめましたよ。
クックデリの食材をうまく取り入れながら無理なく楽しい調理ができるので入居者の方も楽しみが増えているかと思います。
施設様にとっての変化はありましたか?
―食事の楽しみ方をより考えられるように―
まず、早番の業務について朝のゆとりができました。完調品を使うことで仕込みや調理の作業時間がぎゅっと短縮されたので厨房の負担が軽減されたのは大きいです。そうすると、職員の入れ替わりが激しかったという悩みが一転、定着するようになってきました。管理栄養士の業務も多かったのですが、残業も減り家庭とのバランスが取れるようになったのもよい変化です。
食事の味付けについても悩みが解消されました。自前調理をしていた時は、作る人によって味のばらつきあったので、入居者様が違いに気付いて意見があったり、喫食率に影響が出てしまったりしていました。また調理が苦手な職員もいるので、食事提供が負担になって退職したということもありましたが今はそういったことはありません。
クックデリ導入当初は、やはり冷凍食品ということでイメージが良くない方の残食が見られましたが、説得の甲斐もあり理解いただけた今はよく召し上がっています。根気よく説明し、納得してしっかり食べていただけるまで時間はかかりました。職場復帰から半年ほどかけて丁寧に食事について説明を続け、理解を得られたのは嬉しいですし、おいしく楽しく食べていただけるのは喜びでもあります。
食事を楽しんでもらうために、食器を変えたりイベントを増やしたり試行錯誤していますが、クックデリの商品をそのまま提供するだけではなくアレンジして当施設ならではの活用もしていますよ。
設備としては、温蔵庫があるので温かいものは温かく、冷たいものは冷たく保存して提供できるようにしていますし、クックデリはラーメンやうどん等の麺類も献立にあるので、面前提供で一人前ずつ回転釜で湯切りをしてお出しする、というこだわりのパフォーマンスもしています。これはお店に来たような雰囲気で喜んでいただけます。
完品アレンジとしては、例えばクックデリの白身魚フライを普通に盛り付けして提供するのではなく、食パンと千切りキャベツでサンドイッチにするとボリュームアップしますし特別感が出ます。焼きそばも、紅しょうがやかつおぶしをまぶすだけでも彩りがよくなりイベント感が出たりしますよね。
冷凍完調品の強みを生かして、肉料理と魚料理のセレクト食もできるようになり、事前にアンケートを取ってお好みの主菜を提供する日を設けています。生野菜が食べたいというリクエストも多いので、キャベツやミックスベジタブルを添えるだけでも見栄えがよくなり好評です。そういったひと手間を加える時間ができたのも変化ですね。
クックデリは冷凍なので保存がきき、その日に使用しなかったものはストックしておき、もう一品ほしい時やイベント時に少しずつ余りを活用して「お楽しみ副菜」として提供しています。入居者様も楽しんでくれますし、施設としてもローリングストックができ一石二鳥になってちょうどよいです。自前調理と完調品をうまく組み合わせて楽しい食事を考えることが私達も楽しみになっています。
最後に、クックデリのおすすめポイントがあれば教えてください
調理の負担軽減かつBCP対策としても役立っていることなのですが、普段から冷菜を大皿盛りにして提供し、入居者ご自身で好みの量を取る日を設けています。これは入居者様にとっても自分で量を考えたり箸で盛り付けることで思考力や手先を使う機会になっていますし、万が一の時でも食べ方がわかる状態にしておけるという利点があります。例えば災害時、厨房職員が来れなくなったという状況でも解凍して盛り付けができれば入居者様ご自身で食事がとれます。これは完調品のよいところで、職員と入居者様が一緒に扱い方に慣れておくことでいざというときの訓練にもなり大事なことだと思っています。当施設は数年前に地震で被災したことがあるため、BCP対策含め危機管理の意識が高いです。
また大皿盛りにすることで、自分で盛ったものはしっかり食べるようになりました。これまで人気がない副菜は残食が多く、冷凍食品へのイメージがよくないことで食べない方もいたので、どうしたら喫食率が上がるか考えていました。なので試しに大皿盛りにしてみたところ、自分で盛ったからには食べようという意識もあってか残食がほぼなくなったので、今後も継続していく予定です。
食事以外にも普段から近隣の児童会館や小学校、保育園と交流しており、地域連携もここ数年で活発に行い、入居者様に良い影響になっています。
完調品を使うことで調理時間がかなり短縮されたので、むしろそれをカスタマイズしてオリジナル料理に展開出来たり添え物を増やして彩りをよくする等、食事にひと手間加えて提供することが可能になりました。入居者様の声をよく聞き、好みや意見をヒントにしてイベントや施策を行うようにしています。調理する時間は限られているので、その中でどれだけおいしく喜ばれるものを作れるか考えるのは楽しいです。自前調理では実現できなかった料理を提供出来たり時間を要するイベントも開催できたり、メリットがたくさんありました。入居者様に納得してもらうまで私達もあれこれ工夫してここまで来るのに多少時間はかかりましたが、その甲斐があって今は時間を有効活用できるようになっています。
これからも手作りと完調品を併せながら、楽しい食事のあり方を考えていきたいです。
ケアハウスさつき園様、ありがとうございました。