乳がんから自分を守るために ~適切な食生活と生活習慣について~

  1. HOME
  2. メディア
  3. コラム お役立ち
  4. 乳がんから自分を守るために ~適切な食生活と生活習慣について~
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
乳がんから自分を守るために~適切な食生活と生活習慣について~


「がん」は今や、誰にとっても他人事ではありません。
現在、日本人の2人に1人が生涯のうちにがんを経験し、3人に1人ががんで亡くなる時代となっています。

中でも、女性にとって最も身近ながんのひとつが「乳がん」です。
早期発見・早期治療の重要性が広く知られている一方で、日々の食生活や生活習慣が乳がんのリスクに関わっていることは、あまり知られていないかもしれません。

本記事では、乳がんの予防につながる生活習慣や、今から取り入れられる食事のポイントについて、わかりやすく解説していきます。

将来の自分を守るために、今できることを一緒に考えてみましょう。

日本人の2人に1人ががんにかかる時代


現代は日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人はがんで亡くなっています。

下のグラフは主な死因別にみた死亡率の年次推移のグラフです。



出典:厚生労働省 人口動態統計(2021)


ご覧の通り、悪性新生物(がん)は一貫して上昇していることがわかります。

一方下の図は、生涯のうちにがんにかかる確率を示したものになります。



出典:2020年データに基づく累積罹患リスクおよび2022年データに基づく累積死亡リスク
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」

このように、がんは他人ごとではなく、皆さんや皆さんの家族に起こりえる身近な病気である、ということが分かるかと思います。

続いて、こちらは部位別のがんの罹患数と死亡数の順位をあらわした表になります。

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)より



出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)

この表の通り、「乳がん」は女性の罹患するがんで最多であり、女性のがん死亡の原因の第4位となっています。
近年、日本では乳がん患者が急速に増えており、日本人女性の8人に1人が乳がんになっています。

しかし、乳がんは早期発見や予防が可能ながんです。

乳がんとは?

そもそも乳がんとは、乳房の中の乳腺から発生する悪性新生物のことをいいます。

正常な乳腺細胞から悪性のがん細胞になる原因は主に「環境」と「遺伝」の2つと考えられています。
乳がんの510%は遺伝性ですが、残りのほとんどは環境が原因とされています。

その環境に大きく影響しているのが、「食生活の欧米化」と「女性の社会進出」です。

また、女性ホルモンのエストロゲンも、がん細胞の増殖を促進するため、過剰であることは良くありません。
エストロゲンの増加は、食生活の欧米化や、女性の社会進出によって妊娠・出産の回数が減少し、月経回数が増加することと関係しています。


このような環境要因で、近年乳がん患者が増えていると考えられます。




乳がんになりやすい食事はあるの?


日本人女性における乳がんと食事の関連を調査した研究についてご紹介します。

この研究では、約5万人の日本人女性を対象に、食事内容について15年間にわたり追跡調査を行い、15年の間に乳がんになったかどうかを調べています。

乳がんになった人とそうでない人の間で食生活に違いがあるかを明らかにするため、食事を以下の3つのグループに分類しました。

「健康型」 – 野菜、海藻類、脂の多い魚などが関連

「欧米型」 – 肉類・加工肉、マヨネーズ、ソフトドリンクなどが関連(いわゆる洋食やファストフード)

「伝統型」 – ご飯、みそ汁、魚介類などが関連(いわゆる日本食)

出典:British Journal of Nutrition . 2016;115(10):1769-1779

 

調査の結果、「健康型」と「伝統型」の食事は、乳がんの発症リスクがほとんどないことが分かりました。

一方、注目すべきは「欧米型」の食生活です。

日常的に欧米型の食事をしていた人(オレンジ色の棒グラフ)は、たまに欧米型の食事をしていた人(水色の棒グラフ)に比べて、乳がんの発症リスクが32%も増加することがわかりました。

この結果から、日常的に洋食やファストフードを食べている欧米型の食生活が、日本人女性における乳がんのリスクを高める可能性があることが示唆されています。

 

もう一つ、乳がんと食事についてのデータをご紹介します。

IARC 国際がん研究機関は、がんのリスクとなる物質を4つのカテゴリに分類していますが、特にリスクが高いといわれている2つのカテゴリをご紹介します。

たばこやアルコール飲料、加工肉は「発がん性がある」食品に分類され、
豚や牛などの赤身肉、ジャガイモなどの炭水化物の食品を高温調理すると生成されるアクリルアミド65℃以上の熱い飲み物は「おそらく発がん性がある」に分類されます。※1



また、「焦げ」についてもよく言われていますが、焦げの元となる物質(ヘテロサイクリックアミン)も発がん性が疑われる物質の一つです。

しかし、同じ高温調理でも、ポテトチップスやフライドポテトを大量に食べる方ががんのリスクが高いとされています。

さらに加工肉に関して、2021年に発表されたアメリカでの研究結果によると、なんとホットドックを1個食べると36分間の健康寿命を失うともいわれています。※2

しかし、これらの食品は一切食べてはいけないというわけではなく、重要なのは「過度な摂取を控える」という意識を持つことです。

バランスの取れた食生活を心がけ、特に欧米型の食事の摂取を過度に避け、健康的な食事を意識することが乳がん予防に繋がると考えられます。

 

※1 出典:IARC 国際がん研究機関の分類による ※2 出典:Nat Food 2616–6272021
 

座りっぱなしは乳がんリスクを高める!


もう一つ、乳がんと生活習慣についての興味深い研究結果があります。

2023年に日本人女性を対象とした、座位時間と乳がんの関係を調査した研究になります。
まず背景として、下のグラフにある通り、日本人の座位時間は世界で最も長く、だいたい17時間座っています。



そして調査の結果がこちらのグラフです。

縦軸が乳がんの発症リスク、横軸が座っている時間になります。



Bauman et al.Am J Prev Med, 2011


このグラフから分かるように、1日当たり7時間以上座って過ごすと乳がんの発症リスクが36%アップするという結果になりました。

さらに、たとえ毎日1時間以上運動していても、週3回以上運動していても、また1日1時間以上歩いていたとしても、17時間以上座って過ごしていると、同じく乳がんの発症リスクがアップするということが判明しました。

つまり「動く」だけでなく「座りすぎないこと」も重要であることが示唆されました。

まとめ:乳がん予防にはどんな食事・生活習慣がいい?


乳がん予防には、食事や生活習慣が大きく影響します。
以下のポイントを心がけることで、乳がんリスクを低減する助けになるとされています。

食事面で気をつけたいこと:

・野菜や果物、穀物、大豆製品、きのこ類、海藻類、魚介類を中心とした食生活にする

・牛肉や豚肉などの赤身肉を控え、白身肉である鶏肉に置き換える

・甘いソフトドリンクや、砂糖入りのコーヒー・紅茶の飲みすぎに注意する

・ハムやベーコン、ソーセージなどの加工肉を控える

・揚げ物や脂肪が多い食品の過度な摂取を控える

これらの項目に当てはまる食事が「和食」と「地中海食」です。

魚介類を中心に、食材を「煮る」「焼く」「蒸す」を健康的な調理法を取り入れた和食と、豊富な野菜や魚介類、オリーブオイルを中心とした調理法で健康的な食習慣として広く評価されている地中海食。

 

生活面で気をつけたいこと:

・アルコールの摂取を控え、たばこをやめる

・座りっぱなしではなく、こまめに身体を動かすこと

ストレッチや軽い運動を取り入れることで、がん予防に効果的です。

これらの食事と生活習慣を心がけることで、乳がんリスクを減らすことができます。
特に、和食や地中海食を意識した健康的な食事と、規則正しい生活など、毎日の小さな積み重ねが大切です。

自分らしく健やかな毎日を送るために、今日から一歩を踏み出してみませんか。





管理栄養士によるその他のコラムはこちら🫧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

無料試食会のお申し込み

ご検討中の方はクックデリのおいしさと、サービス品質を完全無料で体感ください

無料試食会申し込み